いつもは船の甲版で、サンジの作ってくれたおつまみと共に一杯やるんだけど、「たまには外食でもするか。」とゾロの一言により、やってきました繁華街。
いつもは本当に平和な島でしか夜は出歩きたくなかったけれど、今日の用心棒は最強、そこらのチンピラもびっくりな凶悪顔(失礼)な彼なので、安心して街を歩ける。
あ、道が開けていくなー。はいはいみんな、目が合うだけで殺されないから安心してくださいねー。
「どの店入る?」
「酒が呑めればどこでもいい。」
「じゃあオカマバー。」
「……静かに呑めるとこがいい。」
「ん、了解!」
ぶっきらぼうに言うゾロに少し意地悪。オカマバーに行ったら絶対モテると思う。でも案外楽しいんだよねオカマバー。ちょっと高いけど。
ゾロのリクエスト通り、静かに呑めそうなダイニングバーを案内所で聞き出し、そこに向かう。
「ちょっとちょっと、そこ右に曲がるのは間違ってるよ、さっき左だって言ってたじゃん。」
「あぁ?あの男、ややこしいこといいやがって…。」
「いや、ややこしいことないからね。」
まだブツブツ言っているゾロの手をグイっと引いて、店に入る。後ろでちょ!おい!とか聞こえたけど、そんなの無視。
ゾロから目を離すとすぐどっか行っちゃうんだから。おっきい子どもか。
案内された店内は和の雰囲気が漂う、モダンなお洒落なお店。
小さめの個室の座敷に通されて、とりあえずビールを二つ注文する。
さてと、おつまみは何にしようかな〜と。
「……むず痒ぃな。」
「…へ?」
「こういうとこ来ねぇから。」
「ああ、思ったよりお洒落なとこだよね。」
大方、案内所のお兄さんがあたし達をカップルだと思って、気を使ってくれたんだと思う。だってどう見たって店内はカップルだらけ。
そんな店内を見て、ポリポリと人差し指で頬を掻きながら目を泳がすゾロ。
まあ確かにこんなお洒落な場所、失礼だけどゾロは来なさそうだな…。
「おまえは慣れてんのか?」
「…まあ、女の子だし、こういう所好きだよ。」
「そうか…。」
やっぱりか…とか、おれも…いや、無理があるな…とか、またもやブツブツ言っている。んー、まあ気にしないでフードメニューを見よう。やっぱりまずはたこわさからかな。美味しいよねたこわさ。
運ばれてきたビールを受け取り、勝手に食べ物を注文。え、ゾロの意見?知らない〜。
「はい、乾杯。」
「ん、ああ乾杯。」
オシャレなグラスに入ったビール。それにならうようにカチリとお上品な音を立てての乾杯。(ちなみにあたしはジョッキ派。)
「なんかデートみたいだね。」
「ブフゥ!!」
……やだゾロ汚い。
「ゆず、おまえな、いきなりんなこと言うな。」
「何が?」
「いや、もう…何でもねぇ。」
だってこんな雰囲気のお店で二人で個室。完全にデートだよ。
ゾロのジと目を軽く交わして、お酒と料理を堪能する。はー、最高、幸せだ。
ゾロも呑んでいくうちにこの店にも馴染んできたみたい。最初はソワソワしてたけど、今は胡座をかいてすっかり寛ぎモード。
雰囲気も手伝って、あたし達は普段しないようなお互いの過去の話をしたりした。
日常での仲間達の話をしたりと、面白おかしく笑い合った。
でもこの世界はあたしにはよくわからない文化がやっぱり多くて。でもそれがすごく新鮮だったりする。
「あはは、楽しいね〜。」
「ハ、ゆずテンション高ぇ。」
ゾロも楽しんでいるみたいで、お酒が進むにつれて段々饒舌になってきた。こんなゾロも珍しい〜。あれか、やっぱり雰囲気がいつもと違うからか。
外食ってあんまりしないもんね。
「ゾロだっていつもよりテンション高いよー。」
「フ、変わんねぇよ。」
「うそだ絶対高いもん。」
「なんだよ、絡むんじゃねぇ、」
「やだ絡むよ、しっしっし、」
「ルフィか。」
こんな内容のない会話も酔っ払ってしまえば何でも楽しい。
船で呑んでるときとは少し違う開放的な気分。
「ふふ、もー楽し過ぎて呑み過ぎちゃった。」
「まだまだいけんだろ。つーかあんまり、無防備に笑うんじゃねぇ。」
「んー?どゆこと?」
「………とりあえず、おれが居ねぇ所であんまり呑み過ぎんじゃねぇぞ。」
ゾロも気分は開放的。だってこんな口説き文句染みたことば、普段言わないもん。
「こんなに安心して呑むのはゾロの前だけだからねー。」
「……!」
はち切れる胸。
(よーし、もう一杯!)
((…ヤベェ、酔ってもねぇのにクラクラする。))
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