平和に乾杯。 | ナノ



「しーまーがーみーえーたーぞー!!」


ルフィの元気いっぱいの報告を聞いてから数時間後。無事に島に着いた。
みんなナミからお小遣いを貰って、思い思いに降りて行く。
今日も船番は眠りこけているゾロだ。………よく寝るなあ。


(さて、あたしはどうしようかな。)


そう、目的はない。服も別に要らないし、お酒もこの間沢山買った。おかげで酒蔵ばパンパンだ。
煙草…あ、煙草買いに行こう。次の島まで余裕だけど、沢山ある分には問題ないし。ちなみに煙草にこだわりのないサンジとお揃いの煙草である。

サンジにタバコ買っとくねと伝えて船から降りようとすれば、突然体に衝撃が。


「ゆず〜!一緒に行こうぜ!」

衝撃の正体はゴム人間のルフィのもの。体に手が巻き付いてる。ひとつ言いたい。巻き付く前に声を掛けろと。

…もう慣れたけどさ。


「冒険なら遠慮する。あたし買い物…、」

「よっしゃいくぞー、捕まってろー!」

「………へ、」


いやいや普通に降りようよおおお。うあああああ。
彼は何の躊躇いもなく、ゴム人間の能力を最大限に生かし、飛んだ。ビヨーン、という効果音がばっちり合うね。

つーかやっぱりあたしの意見は無視ですか。


「しっしっし!ゆず、メシ行くぞ!」


冒険じゃなかったみたい。確かに今日は海賊弁当頼んでなかったなと思い出す。


「……イエッサー船長。」

「なんだ?元気ねぇな。そんなに腹減ってんのか?」


そんな馬鹿な。つい三時間程前に食べたばかりじゃないか。大食いのあなたと一緒にしないでほしい。
まあこの彼にそんなこと言っても意味はない。大人しく着いていくことにする。…胃袋もやっぱりゴムなの?


ルフィに連れられるままに入った洋食屋。外から肉のいい匂いがする!と言って勢いよくお店のドアを開けた。
早速彼は、肉!おっちゃんとにかく肉持ってきてくれ!
あいよ!兄ちゃん元気だね!
なんて店主らしきおっちゃんもノリノリだ。てゆうか席も着かずに肉の注文だからね。生肉出てきたらどうすんだ。…食べそうだな。


「ゆずは何食うんだ?肉か?」

「肉はもういいや、あたしワイン下さい。赤でフルボトル…とりあえず二本。」

「おめぇ昼間っから相変わらずよく呑むなー!」


ゾロみてぇだな!しっしっし!っと屈託のない笑顔で言われた。ゾロよりかは呑まないよ。あの人はザルだね、ザル。酔っぱらったとこみたことない。久々に見たよあんなに呑む人。
ルフィは相変わらずよく食べるね、肉。


「うお〜、うまほ〜なにほい〜!」

「ちょ、よだれ垂れてる。」

「………んんうんめへへ〜!」


おっちゃん超うめぇ!天才だな!とキラキラ言って、本当に美味しそうに食べるルフィ。
こんなお客様がいたら、店主もやりがいがあるだろう。ああ、やっぱりとても満足気な笑顔だ。生肉出てこなくてよかったね。


「それにしても、本当に美味しそうに食べるね。見てるこっちが幸せになるよ。」

「むぐ、むほ、ふむぐ、」

「はいはい、食べてから喋ろうね。」


クスクスと笑って、ルフィの口元をナプキンで拭いてあげる。なんだか弟ができたみたいだな。


「ゆずも肉いるか?」


呑み込み終えたらしいルフィが、あたしにそんなことを言ってきた。
………ルフィが、人に、肉を、あげようとしている…?!一大事だ!
吃驚してルフィを思わず凝視。
するとルフィはちょっとふてくされたように何だよ、いらねぇのかよ。と言って再びフォークに肉を刺した。
何で拗ね気味なのさ。


「あ、ちょっ、貰うって。」


肉の刺さったフォークを持ってる手をあたしは掴んで、そのまま口に入れた。
ルフィに食べさせて貰ってるような感じだ。いや、強制あーんだね。


「ん、美味しい。ルフィ、ありがと。」


にこり。あのルフィが肉を分けてくれたんだ。かなり珍しい出来事だけど、ここは素直に頂いてお礼を言っておくことにしよう。


「……、な!うめぇだろ!」


少し反応の遅れたような、ルフィの返答に、あまり気にはせず、にこりと笑い合って煙草に火を点けた。









鈍感組。


((お?なんだ、おれ、心臓がうるせぇ。))

((あ、ワイン無くなっちゃった。頼んでいいかな。))





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