平和に乾杯。 | ナノ




あれ、おかしいな。
ここはどこだ。
あたしは峰さんと……あれ?


「ここは、マカオですか?」

「はは、ゆずちゃん、正真正銘、日本だよ。」



そう。日本なはずだ。
ちょっとここまでの記憶が曖昧なんだけど、そんなの気にならないくらい有り得ない光景が今あたしの前に広がっている。

いや本当おかしいな。
まだ夕方くらいなはずだったのに。きらびやかな電飾がこれでもかと言うくらい光っていて。そびえ立つ大きな建物はテレビやネットでしか見たことのないものばかり。

ことばがでないくらいにポカンとする。きっと今のあたしは漫画で表現しやすいくらいのアホ面だ。


「ゆずちゃんなら気に入ってくれると思ったんだけど…失敗かな?」


声のトーンにいくらか悲しみを交えて、苦笑いする峰さん。

いや、気にいらないとか、そんなそんな!!!!


「…………っ、峰さん!もしかしてここ、カジノできるの?!」

「はは、当たり前だろう?」


気に入ってくれたみたいだね、とパァっと顔を微笑みに戻して、峰さんはお茶目にウィンク。
いや本当に最高です。

カジノ、というかギャンブル全般が大好きだ。小さい頃から変にギャンブル運が強くて(ゲームセンターにあるコインのスロットとか果てしなかった。)大人になってから一通りギャンブルはやっている。パチスロから始まり競馬競輪エトセトラ…。最近ハマっているのがカジノ。ルーレットもいいけどカードが特に楽しい。

でもそんなにしょっちゅうは行けないし、日本のカジノなんてたかがしれていて。いつかは海外の本場に行きたいなぁって思っていたんだ。

聞くと、ここは峰さんのプライベートタウンらしい。
何プライベートタウンって。
島を丸ごと買い取ったからどうせなら街にしようと思って、と。私の会社員や、その家族専用の慰安旅行先みたいなものだよ、っておい。
色々とおかしいだろう。しかし、ゆずちゃんの好きな街にしたかったんだ。モデルは君だからね。勿論君は、いつでも大歓迎だから。いつでも遊びにおいで。
そう言われたら上げる頭がないよね。

いやもう本当にありがた過ぎるというか峰さん神だね。

よしとりあえず手始めスロットだ。

データを慎重に見てから座った台は、瞬く間に派手な音楽を流す。

ヘイそこのバニーガールちゃんビールの補充、よろしく頼むよん。






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