朝起きて、軽く身支度を整えて。朝ごはんの時間までいつもの場所で一服する。
まだ少し暗い周りにそこだけうっすらと白煙がゆらいで、それが今日の風の弱さを物語ってて。含んだ煙で何の気なしに輪っかとか作って密かな一人遊び。
ニコチンが切れた起き抜けの体には、タバコ一本じゃ足りないから一息着く間もなくもう一本取り出して火を着ける。
それにしても今日は眠気がなかなか拭えない。
「お、もう起きてたのか、」
もう一本吸い出したところでゾロが不寝番を終えてやってきた。お疲れ様を言う前に、少し目を見開いてもう起きてたのか、ということば。あれ?と思って。
「起きるのいつもより早くねぇ?今日何かあったか?」
あたしがキョトンとした顔でゾロを見てると、そう答えてくれた。
ちなみにいつも目覚ましなんてかけてないし、同室のナミとロビンが起きる頃に自然と起きるんだけど。だから毎日の起床時間は多少ズレがあるものの、よっぽどのことがない限り大体同じなはず。もちろんそれは今日も。
「え、ほんと?………あ、だから今日いつもより眠気覚めないのかな。」
「ハ、たしかにいつもより目が小せぇ。」
「…ちょ、それ失礼なんだけど。」
鼻でからかい笑われた。
もぅ、と返しながら少し膨れて見せたけど、ゾロもあたしも目が合った瞬間小さくプッと吹き出して。
「今日はデカ目メイクでもしようかな。」
「………デカ目メイクっつーのがよくわかんねぇけど止めといた方がいいってことだけはわかる。」
「ゾロに乙女心は一生わかんないと思うの。」
「ハ、乙女心、ねぇ。」
ニヤリとことばを復唱して、頭とお腹を掻きながら大きなあくび。どうでもいいけどおっさん臭いと思うのはあたしだけだろうか。
二本目のタバコを吸い終わると狙った様に朝ごはんのいい匂いがあたしたちの元まで届いてきた。ルフィのメーーシーー!という声も聞こえてきたから、準備が整ったのだろう。
「…目、細いとか言うからみんなのとこ何となく行きづらいんだけど。」
「フ、そいつぁ悪かったな。」
おっさんと乙女。
(絶対悪いと思ってない。)
(おーよくわぁったな。)
(……おっさん剣士め。)
(てめえより年下だっつの。)
ああ言えばこう言うんだから!
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