元の世界にいた時は、毎日が忙しくって。起きて学校行って、家事して仕事して帰って寝る。そんな生活が当たり前だったし忙しくしてる毎日が好きだった。ちょっと無理なことも余裕ぶってこなしていくストイックな部分がある自分も嫌いではなかった。
「…………ひま。」
だからこんな風に1日ゴロゴロ過ごすのもあんまり慣れてなくて。毎日じゃないけど、海獣が出ただの敵襲がきただの何かバタバタすることがあるのに。
ここ最近は全くない。
ルフィたちとの釣りも飽きたし(釣れないし)女部屋の大掃除もしたし(そもそも汚れてない)ゾロとの鍛練も終わったし。(ノルマ以上はやらない主義)
そうだサンジの仕事を手伝おうかななんて思っても、手伝わせてくれるはずもないんだよね。
忙しなく動く彼の背中を見つめながら、もう一度、ひまと素直に言った。
「ゆずちゃん、お茶が入りましたよ。」
サンジは苦笑いながら、振り返って。いつの間に用意していたのかあたしのためにお茶を用意してくれていた。
「わ、ありがとう。」
目の前に映るそれを素直に受けとる。
ゆらゆら揺れる湯気を立てながら美味しそうな匂いのアフタヌーンティー。ティーカップの縁にはレモンが添えられていて。
それをカップに落として飲めば、甘いなかにもすっきりとした味が口のなかを駆け抜けていく。自然にホッと一息ついて、ゆるく笑えばサンジも笑みを浮かべてくれて。
「…ひまだって嘆いてたけどこんな日はサンジのお茶がより美味しく感じるよ。」
何もない午後。残念ながらお天気はよくないけれど。
ほんのり灯る電気がレトロチックで目の前には金髪の彼がいて。
「プリンセス、お褒めに預かり光栄です。」
ついでに紳士。
うん、おしゃれな絵だ。
明日は、いやもしかしたら夕方にはまた何かバタバタすることが起こるかもしれないし。
こうやってひまだという時間も大事に、上手く過ごしてしていかなきゃダメだと思った。
何よりこのティータイムが癒されることがわかったし。
しゃれこむティータイム。
(それにたまにはアルコール抜かなきゃね。)
(クク、そろそろ酒の蓄えも危ないもんな。)
(あーそうだった、早く島に着かないかな。)
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