天気のいい昼間から飲むお酒は最高だと思う。そう言って日課になってたおれとの筋トレを早々と切り上げて、専用の酒蔵に向かったゆずを見送った。
そう言われたらそうだなとおれもやけに呑みてぇ気分になっちまって。
つーかいつも天気なんて関係なしに飲んでんのに、ゆずにそう言われるだけでそんな気分になる。
かと言って日々の訓練を怠ることはせずに、淡々とノルマをこなして。
終わったら酒、なんて柄にもなく楽しみにゆずのいる甲板に向かって行った。
「ゾロおそーい。」
そこに行くとゆずはいい感じに酒が回ってたみてぇで。
それだけだったら、海を眺めながらしとやかに呑んでいるようにも見えるのにな。
足元に転がってる酒瓶を見れば、こいつの呑みっぷりに笑いが出る。
「一人で全部空けんなよ?」
おれが気に入ってた酒も持ち出してんのを見つける。全部呑まれちゃぁかなわねぇ。
そう返した瞬間、船に影ができた。
なんだ?と思って上を見上げると、見たことねぇでけぇ海獣が船を見下ろしていて。
チッ、訓練も終わって一杯しようって時に!空気読めってんだ。
「ふふふ、ふふっ、海獣さんだー!!」
「酔っ払いかよめんどくせぇ!」
くすくすと何がおかしいのか海獣を見て笑い出すゆず。アイツそんなに酔っぱらってたのかよ!あーもうふらふらすんな、あぶねぇだろうが!……あ?ふらふらしてんのは船か。
そうしてる間にクルー全員が甲板に揃った。
ぐる眉が「今日の晩メシだぁ!」っつってルフィが目を光らしてやがる。
「ふふ、あれ?」
「いいからおとなしくしてろ。」
足取りがふらついてんのに海獣に飛び掛かろうとするゆずを抑えて、おれは斬りかかろうとする。
剣に手を掛けると、いつもより重さを感じて。
「う、船の揺れ、気持ち悪い。」
そこには鞘にしがみつくゆずがいた。
「まじかよ!てめえどんだけ呑んでんだ!」
しゃあねぇからルフィたちに海獣は任せておれはゆずを抱えてキッチンに連れて行った。
ったく、たまにこういうぬけたとこがあるから目がはなせねぇ。
目線の先。
(揺れ、酔う、吐く。)
(だーもー待て!そこで戻すな!)
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