平和に乾杯。 | ナノ





ルフィの行動を観察するのが割りと好きだったりする。
真っ黒の澄んだ瞳をくるくる動かして色んなものを見付けて感情の赴くままに行動する様は、動物みたいでおもしろい。


「よっしゃ!冒険のにおいがするーっ!!」


今まで続いてきた旅と冒険と闘いに。これからも続くそれに。ルフィは本能のまま、本能を突き動かして生きていくんだ。


「…うらやましいなー。」


明日には到着しそうな島を見据えて、ルフィはウキウキとしている。久しぶりに上陸だからいつもよりもテンションが高くなってて。サンジに海賊弁当の注文も早速しているのを、ナミに落ち着けとたしなめられて。その顔は今までに何度も見た満面の笑み。

純粋すぎる真っ直ぐなその顔は、たまに目を逸らしてしまいたくなるくらいなのだ。


「ん?ゆず、なにがうらやましいんだ?」


ボソリと一人言のように呟いたことばに反応するルフィ。キョトン、とした顔もこれまた本当に真っ直ぐ。


「ルフィみたいに本能的なのがうらやましいなーって思って。」


あたしも彼を見習って隠すことなくそう告げた。
そしたらますます、キョトン、とした顔になって。たまらず笑ってしまう。


「なに笑ってんだよ、」

「ふふ、ごめんごめん。なんか、可愛いなーって思ってさ、」

「!男がかわいいとか言われても嬉しくもなんともねぇんだからな!」


ぷくっと頬っぺたを膨らまして、くちびるを尖らせた。
……その顔を可愛いと言わずして何と言うのか教えてほしい。

それでも少しご機嫌ナナメになったルフィは眉間にシワを寄せてる。


「…17歳なんて性別関係なく"可愛い"のカテゴリーに当てはまるものなのよ。」

「なんだそれわけわかんねー、」


そう言うともうこの話に興味がなくなったのか小さく見えてきた島に目を向ける。
あっちこっちに意識がいくルフィにやっぱり可愛いなぁと目を細めて。


「なぁゆず!」

「ん?」


ルフィの顔は小さく見える島に向けたまま。

やけに男らしく見える横顔に一瞬目を奪われた。


「次の島に着いたら、ゆずも一緒に冒険しよーな!」

「えっ、やだよこわい、」

「む!やだとか言うな!つーかこわくねーよ、おれが守るしよ!」


またぷくっと頬っぺたを膨らましたルフィに、今度は声を出して笑っちゃって。


「あははごめんごめん、いーよ行こう、ちゃんと守ってね!」


危険な海を何度も越えたあなただから。
今さら、守ってねなんてわざわざ言わなくてもいいんだけどね。


「おう、任せろ!」


こうも自信満々に言い切られたら、本当に気持ちいいんだ。

ことばと行動で示す、わかりやすい守り方をしてくれるルフィ。

きっとこれからますます、海のように大きく波のように優しい心を持つ素敵な男に成長するのだろう。


「ふふ、ルフィの将来が楽しみだ、」

「おう、可愛いなんて言わせねーからな!」








Boy!


(今でも充分かっこいーんだけどね。)




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