夜ご飯を終えて、また性懲りもなくお酒をぐびぐび呑むゆず。傍らにはサンジが作ってくれたリクエストの生春巻き。あと大量の吸い殻が入った灰皿。
酔っぱらうと煙草の量が増えるのをチョッパーは気にしているのだが、朝早くから起きて勉強していた可愛い船医はもう夢の中。愛煙家な彼女を怒る人はいないのだ。
そして酒に付き合っているのはいつもはゾロかナミ。生憎ゾロは不寝番のため仮眠中、ナミは海図を書くために部屋にこもっていて、どうしようかと悩んでた先に矢が止まったのは我らがキャプテンウソップ様である。
ウソップ、君に決めた。
「それでよ〜…ヒック。おれぁ、アイツらの強さを、目の当たりにして、何だコイツら、超ヤベェじゃねぇかよ!って思って。ヒック、」
「まあ確かに〜、伸びるし〜、悪どい顔して楽しそうに斬るしね〜、」
「おれがいかに普通かって、ウイー、」
酔っていた。
最初はウソップの武勇伝を聞いていたはずなのだが、何故か今はウソップの愚痴ではないがそれに近い、悩みなるものを聞いていた。
酔いもいい具合になった時、彼の武勇伝にケラケラ笑って気を良くしていたのだが、それ以上にウソップは酔っていたみたいで。それよりさ〜…と話始めたのである。
「でもさ、海は広いから〜。悩み事は、気にしちゃ渡っていけないよ〜。」
「ゆず……そうだよな!ウイーック、」
前職の癖もあって、悩みを聞くのは得意なゆず。
酔っ払って軽く流しているような喋り方でも、その目は優しくウソップを見つめている。
その眼差しに促されるように次々と口を滑らす彼。
「悩み事をするのが悪いんじゃなくって〜、ウソップは人と比べ過ぎなんだよ〜。ウソップはウソップでしょ、ウソップにしか出来ないことあるじゃん。」
にこりと優しく微笑まれ、ウソップはハッとさせられる。お約束のことばだけれどいざ自分に言われたらことばが詰まる。
そうだな、おれは何と張り合っているんだろう。
ちょっと、酒もうなくなっちゃった!と言ってキッチンに取りに向かうゆず。キッチンにはサンジがいるだろう、こんな酔っ払った彼女を見たら怒られる。
(こんなに酔わして何する気だクソっ鼻!とか言われそうだな…。)
サンジにだけは言われたくねぇな…そう酔っ払った頭で考えながら、でも彼女を止めることができない。
「ゆず、ありがとな…。」
「ん!サンジからお酒貰ってくるから〜!」
感謝の意味を間違って捉えてる彼女に突っ込むことができなかった。
優しい彼女の言葉に、居心地の良さを感じて、安心したようにそのまま眠りについたウソップだった。
平和主義同士。
(ありゃ、ウソップ寝ちゃった〜。)
(ゆずちゃんも、今日は寝た方がいいんじゃない?もう少しで出港だよ。)
(……んー、サンジ、一緒に呑もう?)
((……っ、酔っ払いゆずちゃん可愛すぎる…!グッジョブウソップ!))
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