人は、彼女を詐欺師と呼ぶ。
「はい、あたしの勝ち。」
「悔しい〜!何であんたそんなに強いのよ!」
「あら、また詐欺師さんの勝ち?流石ね。」
ただ今船の庭のテーブルで女子会カードゲーム中。この島のログは、夜中で溜まるからみんなぼちぼちと船に帰ってきている。夜ご飯の前に早速調達してきた女子会用の果実酒を、女3人で楽しんでいるところ。
甘酸っぱい何種類もの柑橘類を使ったお酒をロックで、横にはサンジの特性アラカルト。チーズと果物を使った何とも可愛らしいおつまみだ。
「さて次はどうする〜ポーカーでも、何でもいいよ〜。」
「ちょっと休憩ね!わたし悔しくて手に汗握っちゃった。」
「ふふ、力入っちゃうものね。」
ほんきで悔しがるナミをよそに、涼しい顔で言うロビン姉さん。説得力ないですから。
それにしてもここまで白熱したゲームを女同士でするのは初めてだ。
「でも、詐欺師さんは流石ね。名前の通り。私たちは詐欺師さんのカードが読めないわ。」
「へへへ。鍛えてるから。」
休憩と言ってナミはまだ悔しそうにカードを見ている。あ、破ろうとしないで、カード自体には種も仕掛けもないんだからね!
でもその様を可愛いなー、って思いながら煙草に火を点けた。一勝負の後の一服もこれまた格別で。
「ゆずって存在そのものが詐欺のようなものよね。」
え、どーゆうことなの。いきなりのナミの一言に首を傾げて煙を出す。だって何だあたしの存在が詐欺って。
「まぁ、確かにそう言えるわね。」
「ロビンまで…。」
「だってそんな可愛い顔して私より歳上だし、煙草吸うし、お酒ばっか飲むし、細い癖に馬鹿力だし。」
「…えぇー。」
「私も最初見た時は船長さんと同い年くらいだと思ったわ。」
可愛いって言われてテンション上がったのに、次々に言われることばに心なしかしょんぼりする。しょうがないじゃんあたしはやりだしたら止まらないタイプだからトランプやらゲームやらその他諸々極める勢いで無我夢中だったんだもん。
初めてカジノで大金が手に入った時は大喜びしたけど。
ちなみにカジノで鍛えた腕は、この金欠が多い麦わら海賊団で大活躍中。
「あぁ…年齢ね…。ゾロとサンジにも吃驚されたよー。」
初めて会った日のことを思い出す。年齢言って、超びっくりされたんだっけ。失礼だよね。
「ほんと童顔のくせにねー。」
「ふふ、詐欺師さんのギャップが私たちは大好きよ。」
ぱちくり。ロビンの一言にナミも、そうね。おもしろいし。と同意する。
ちょっと吃驚したけれど、あたしって想われてるなと感じて嬉しさが心を占めた。
「ありがとー。あたしも、二人とも大好き〜。」
にこり。
「ゆず!あんたほんと可愛いわね!」
「ふふ、ありがとう。詐欺師さん。」
ガールズトーク。
(麗しのプリンセスたち!夜ご飯の準備が整いましたよ〜!)
(はぁい〜。)
(ぐはっ!酔っぱらいゆずちゃん可愛い!)
(詐欺師さんは酔っぱらうと語尾が伸びるわね、可愛いわ。)
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