『ようこそ…お待ちしておりました、神威様…』



にっこりと笑うと神威は怪訝に眉を寄せる。



「・・・・・・・・前にも言ったけど、その顔嫌いだな。」

『・・・・・・まぁ、今日は機嫌が悪いのですね…。』



つつつーと首をなぞると腕を掴まれた。


強く、そして哀しく…


トサッ


そのまま私を押し倒す。


垂れ下がる前髪が私の頬を擽る(くすぐる)。


笑ってもいなく、怒ってもいない…


こんなに彼の哀しい顔は初めてだ…


・・・・・・私が、貴方をこんな顔にしてしまったの?



「・・・・・・なんで・・・・君は泣くんだい?」



頬から流れ落ちる涙は床を濡らし、そして私を濡らす…



「・・・・・・・・俺は名前が泣くのを見たくないヨ・・・・。笑っててほしいから俺は名前を買うなんて言ったんだよ。」



私に乗ったまま、神威は優しく笑う。


・・・・・・・・あぁ。貴方を、苦しめていたのは責任なんてモノじゃない…


私の偽りの敬愛…


それならば、共に解放しよう。


私の心も貴方の心も



『どうか…私を買っていただけないでしょうか…』



咲き出す傘の群れ


二人を濡らすは、私の雨…



『愛しております…』



二人を繋ぐは、素直な気持ち…



fin


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