つぅー
頬に、一筋の涙が流れた。
『!!!?』
バッと袖口で顔を隠す。
羞恥や驚愕の思いでいっぱいになった思考は、今にも爆発しそうだ。
チラリと神威を見れば、いつも笑っている顔は、真剣味を帯びて いる。
グイッ
『っ!?い、嫌です…神威様…』
「・・・・・・・邪魔。言うこと聞かないと殺しちゃうよ。」
私の手首を羽織ごと掴むと、外そうと引っ張った。
口は弧を描くも青い瞳は、ただ私を見据える…
強い瞳や力を込めた手からは、恐怖しか感じないはずなのに…
この人にだったら…と思ってしまう。
ゆっくりと外された腕から見えるは、無数の雫を流す私の顔…
そっと伸ばされた手が触れた瞬間、ビクッと身体が跳ねる。
触れられるのは慣れているはずなのに、彼が触ると緊張してしま う…
「・・・・・・・・俺が…紅桜を買ってあげるよ…」
『えっ・・・・・・。』
急な言葉に…目を見開く。
『な、何を言っておられるのですか…。わ、私を買うなんて…い、 いくらかかると思っているのですか。あ、あなたにそこまで迷惑をかけられませ…!!』
私の言葉を遮るように涙を拭う。
優しく、目を細め微笑みながら…
ゆらりと三つ編みを揺らし、私と神威の距離はゼロになった。
彼との初めての深い口づけは、私の心と身体に刻まれていった…