『土方さん。名字です。』

「おぅ。入れ。」



鳥たちの鳴き声が飛び交う中、長期出張の多い今月の屯所内はし んと静まり返っている。



『頼まれていた報告書持って来ました。』

「あぁ。ご苦労だったな。」

『・・・・・・・・・・・・・・。』

「・・・・・・・・・・・・・・。」



元々お喋りではない私たちには、気まずい沈黙が流れてしまう。



「・・・・・・なんだよ。用が済んだんならもう下がっていいぞ。」

『ぁ・・・・・・・・・・はぃ。』



・・・・・・・・・・・・・。



「ああああああ!!!!!なんなんだよテメェは!!なに!?今頃反抗期になっちゃったの!?」

『!?い、いえ…そう言うわけでは…なくてですね…え、えとあ の・・・・・・。』

「?」



沈黙に耐えられなくなった土方さんは、頭を掻きむしり大声をあげた。


そんな土方さん対して私は、段々と声が小さくなっていく。



『そ、その・・・・。も、もう少しだけい、一緒に居たいなぁ〜って 思って…まして…』

「!?お、おま!?」



すると徐々に土方さんの顔が赤くなっていく。


しばらく目を見開いていたが、不意に立ち上がるとどこかへ行ってしまった。


や、やっぱり迷惑だったかな…


調子に乗りすぎた自分に恥じ、そしてどんどん落ち込んでいく。


スラッ


静かに開いた襖の向こうには、湯飲みと茶菓子を持った土方さんがいた。


あ…二人分の…


ずいっと湯飲みを差し出され受け取ると、土方さんは満足げな表情で笑った。


近藤さんにもらったヤツが残ってた、食べないともったいないと思っただけだ。


そう、何度も繰り返す言葉を、私ははいはいと返事をした。



貴方といて、私は…今日も幸せです…



fin


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