光彩陸離

「真ちゃんが 好きだって、思った」




帰り道、さっきまで肩を並べて歩いていた高尾が急に消えたので後ろを振り向くと
そのタイミングでいつの間にか立ち止まっていたらしい高尾の声が聞こえた



どういう意味だろうか

唐突に口に出された言葉には何の前触れもなく

どんな顔をしているのか気になって見てやろうと思ったが、それすらも街灯の光で反射して分からなかった






そしてその唐突な言葉は続かない


(何、口走ってんだか)


好き、なんて言ってしまったオレはなんとなく居心地が悪くて
黙って真ちゃんを追いかける

今日、なぜだかチャリアカーが壊れてまだ直してないのが歩いてる原因


このまま無言が続くと思ってた、のに



「…で、何が言いたいんだ」


反応した真ちゃんに驚いた


「…意外だなぁ、興味もってくれたんだ?」

「バカか、お前は。話し掛けられたから答えたまでだ」



…嘘、いつもは
そんなんじゃ、ないくせに


顔をしかめて
嘆息して

いつもは

そんな、そんな



優しい声なんてしないくせに




「…ずるい」

「何がだ」

「別に、真ちゃんは知らなくていいこと」

「…気になるだろう」




ああ、ほら

そんなこと言われたら期待する


好きだ、好きだ、好きだ




光彩陸離



そう、さっきさ、帰り道
一緒に歩いてて思ったワケよ

街灯の光に照らされた真ちゃんが

泣きたいくらい綺麗で

そんで

すげー

「好きだって、思ったの」


(ただそれだけの話)





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光彩陸離:光が乱れ輝き、まばゆいばかりに美しいさま

aikoの曲「傷跡」から

片想いしてるのは自分だけだと思い込む高尾と
自分の気持ちに気づいてない天然真ちゃん
高尾に「何なのだよ!」とか思いながらも満更でもない自分にあれっ?ってなって気付くきっかけになったり


2012/12/02.







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