私にはとても好きな人がいます。一目惚れなんてそんなもの信じていなかったけれど、どうやらそれは実際に起こり得るようで、一目見た瞬間にそれこそ雷にうたれたみたいに身体中を電撃がかけめぐりました。なんて、ちょっと言い過ぎたかもしれません。けれどそれくらいに、運命を信じたくなるほどに、私は彼に大きな思いを抱いてしまったのです。汗を流して、ユニフォームを土で汚して、ボールを蹴る姿は、頑張れ、って応援したくなるくらいに一生懸命で、彼が部活のあと一人で居残り練習をするその姿を見られることが、私の今の一番の幸せなのです。


「新一!」


ああでも彼にはかわいいかわいい幼なじみのあの子がいるのでした。よく喧嘩をしている彼らですが、それは端から見ていればお互いの気持ちがばればれなくらいに意地っ張りな喧嘩で、とてもとてもかわいらしいものなのです。彼女からの鉄槌は少し力強すぎる気もしますが、それも照れ隠しなのでしょうか。彼の隣に並ぶあの子は、スタイルもよくて、運動もできて、私にはとてもじゃないけれど勝ち目なんてないのです。

不毛な恋をしてしまった、と嘆くところかもしれませんが、勝利の女神が最後に誰に微笑むかなんて分からないものですので、やれる限りの努力はしてみたいと思います。なんて、少し強気なことをいってみましたが、どうにもこうにも、私が彼の隣で笑って歩いている姿なんて、想像もできないのですが。けれど何もしないで諦めるのは性にあわないので、まずは私の大好きの気持ちを文にしたためて、彼に届けてみようじゃありませんか。



(120825)




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