梅雨の湿気でまとわりつく不快な風を全身にあびながら、待ち合わせ場所のファミレスの扉をひらいた。カランカラン、と私が入ってきたことを知らせる音がして、店員さんのいらっしゃいませの声が重なりあってきこえてくる。ひんやりと冷えた空気が心地いい。

かけよってきた店員さんに、待ち合わせです、と告げると、ごゆっくりどうぞ、と笑みを見せて去っていった。店内をぐるりと見回して、彼を見つける。ふわふわの髪の毛はこの天気のせいか、なんとなくボリュームを増しているけど、それでもきっと触ればふわりと優しいのだ。

「拓人!ごめん遅くなっちゃった!」

「名前さん!来てくれてありがとうございます」

嬉しそうに笑う拓人がすごくかわいい。端から見れば私たちは姉弟にでも見えるかもしれないけれど、拓人はれっきとした私の彼氏なのだ。年下なんて、って言う友達なんて、知らない。好きならそれでいいでしょ、って言い返してやった。

「拓人に呼ばれたのにこないわけないでじゃん。それで、用って?」

そう尋ねると、あー…なんて言いながら目を剃らす拓人の姿を見ながら、昨日のことを思い出す。

『少し用があるので、明日学校終わってから会えませんか?』

お風呂からあがるとそんなメールが届いていて、私はもちろんすぐに大丈夫だよ、と返事を返した。学校が違ううえ、練習で忙しい拓人とは、なかなか会えないから、願ってもみないお誘いだ。

「渡したいものが、あって」

しばらく悩んだ様子の拓人は、そう言って机の上に小さな紙袋をのせた。開けていい?ときくと、拓人は少しだけほっぺたを赤くしたまま、こくりと頷いた。なんだか少し緊張しながら、丁寧に貼られているテープをはがしていくと、中からはかわいらしい星をモチーフにした携帯ストラップが出てきた。

「これ…」

「その、何を買っていいのかわからなくて、霧野にも相談してみたんだけど、お前が選んだのが一番だって言われてしまって、」

焦ったように弁解する拓人を見て小さく笑って、すごくかわいいね、ありがとう。って言ったら、拓人はきょとんとした後にほっとしたように胸を撫で下ろして、笑顔を見せた。

「誕生日、おめでとうございます」





(120621)
HappyBirthdayあーちゃん!




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