「はっ!わかった、こうだ!」

「さっきから違うって言ってんだろ!お前は何を聞いてたんだよ!」

ばし、と頭をはたかれた。痛い。こいつこんな口悪い上に手出してくるんですよ、女子に、女子に!それなのになんであんなモテるんだろうむかつく。試合見に行ったらきゃー泉くーん!なんて言われちゃってむかつく。また一からさっきと同じなんだろうことを説明する泉の声を右から左に受け流してじーっと観察してみた。やっぱ顔か、この童顔がいいんだろうか「これをxに代入して、」それともやっぱ野球してるときとのギャップ?それは分からなくもないなあ、だって泉の真剣な顔超かっこいいもん「んで、ここの長さが出てくるから」まあ何で私がこんなぶすくれてるかって言うと普通に焼きもちですけどね。悪いか。他の女子にきゃーきゃーいわれてたらむかつくんじゃい!どさくさにまぎれて孝介くーんとか呼んでる奴まじで許さない私だってまだ呼んだことな「わかったか?」

「え、ごめん聞いてなかった」

「はあああぁぁ!?」

何で聞いてねんだよ、ってやばい超おこってる。

「ごめんって…ちょっと考え事してたんだって…」

「お前…はぁ…」

ため息をついた泉はぺらぺらと問題集をめくって残りのページ数を確認する。その動作をじっと見ていると、ちら、とこっちを見た泉と目があった。私を見て何やら考え出した。え、何。

「よし」

「…?」

「一問正解するごとにご褒美やるから頑張れ」

「えっまじでか!何でもいいの!?」

「おー」

「よっしゃ私頑張る!」

「そんかわし」

「うん!」

「一問間違うごとにお仕置きなー」
「えっ」


冗談ですよね、と問いかけてみると泉は満面の笑顔を返してきた。ちくしょうかわいい。じゃなくて、どうやら本気らしいです。何考えてんだ本当。



(ちなみに泉さんお仕置きって?)
(え、教えねー)
(ええぇ…)



(120304)
title by:秘曲




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