すきだよ、と小さく呟いてみたらぶわりと気持ちが溢れだした。ねえ、すき、だいすき。ずっとずっと、すきだったの。そんな風にしか言い表せないのが悔しいくらいにこの想いはもうずっと心のなかで燻っていた。どうすれば伝わるんだろう?おんなじクラスになって、隣の席に座って、週番なんか一緒にやっちゃったりして。そんなことを夢見てたのに、神様はいじわるみたいだ。結局最後の最後までそんな幸せは私には降ってこなかった。

がんばってるきみがすき。元気で明るいきみがすき。

みんなに囲まれて楽しそうに笑ってるきみは、ちょっときらい。

気持ちを伝えることも、自分を磨く努力をしなかった私がかわいいあの子達を羨むなんておこがましいのは分かってる。でもね、そうせずにはいられないの。いやなやつだね。

教室の窓から眺める景色はいつもと変わらないはずなのに、ものすごく悲しい気持ちになる。週が明けた月曜日から、私は新しい制服に身を包むのだ。だれもしらない。友達でさえも。ごめんね、だって泣いちゃいそうだから。別れの言葉を言うのは耐えられそうにないから。ばいばい、校庭を歩く彼の姿を見つけて、その背中に言葉を投げる。もう一度開きかけた口は、けれど何も紡がずに閉じていった。


またね、なんて叶わない夢を抱くことはもうやめたの。




(130713)




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