次の日に学校に行くと、昨日は悪かった、と、教室に入っていった私に阿部は律儀に謝りに来た。今日は俺がやっとくからお前先帰ってろ、なんて、こいつこんな顔でこんなに親切ってこれはちょっとしたギャップ萌えってやつなんじゃないの。自然と緩んでしまう口元に気付いたのか、阿部はまたいつものように眉間のしわをぎゅっと寄せる。

「あんまりそんな顔ばっかしてると、しわの跡がついちゃうよ?」

冗談まじりに忠告してやると、阿部は私のおでこを容赦なくでこぴんしてきて、うっせー、って拗ねたように呟いてから自分の席に戻っていった。なんだ、阿部隆也、案外かわいいやつじゃないか。私が思い描いていた、口が悪くて不器用で面倒くさがりな阿部も、間違ってはいなかったようだけど、どうやらあの男は意外と子供っぽいところがあるらしい。それでいて妙に大人びてるところもあるから、なんだかあいつがとてもすごい奴に思えてきた。

「お前、阿部と仲良かったっけ?」

阿部の少しはねてる髪の毛にまた笑いをこらえていると、隣の席の花井が不思議そうに話しかけてきた。どうやら仲が良く見えたらしいということに気付いて、ちょっとだけうれしくなる。今週ね、私と阿部、週番なの。そう言って教室に来る途中で担任に手渡された日誌を見せると、花井が合点がいったというようにああ、とつぶやいた。中学までの日直とは違って、一週間ごとに交代する制度の週番に感謝しなくちゃならないよね。あの面白いやつとやっと話ができる機会を作ってくれたんだから。

「ねえ花井、今度っていつ試合あるの?」

まずはもっとあいつを知るためにきらきらした阿部隆也を見に行ってみようかなと思います。







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