ちゃんとフってももらえなかったなあなんて考えるのは甘えなんだろうか。フラレるのは分かっていたけど、"きかなかったことに"なんて、結構なダメージ。切れた電話の向こうから聞こえるツーツーって音に、ものすごく、寂しさを掻き立てられた。号泣とまではいかないけれど、やっぱり自然と流れてきた涙のせいで、次の日起きたときにはほんのすこし目の周りが腫れてしまっていた。色々相談にのってもらった友達は、めざとくその変化に気付いて、昨日あったことを全部話すと、なんだかすごく驚いた顔をしていた。

「…うっそ」

「こんなことで嘘ついてどうすんのさ〜」

「そうなんだけど、でも、え〜…?」

納得いかない、そう言いながら窓の外に目を向ける彼女の視線の先には、いつものように楽しそうに走り回る菊丸先輩がいるのだろうか。意図的に目をそらして、外を見ないようにする。今はちょっと、顔を見るだけで気持ちが落ち着かなくなる。

「うーん、でもまあ、よく頑張りました」

普段はクールで甘やかしてくれることなんかないのに、優しく頭を撫でてくれたりするからばかやろー泣きそう!なんて軽口を叩きながら机に突っ伏した。






午後の授業をいつにもまして上の空で聞いていると、そんな日に限って目敏い先生たちに指名されたりするからたまったもんじゃない。ああ多分昨日も今日も占いは最下位だったんだろうなあ。鳴り響いた授業終了のチャイムの音を合図に、机のうえに突っ伏した。今日もうさっさと帰って眠ってしまおう。そうしたらきっと明日にはもやもやも吹き飛んでくれる。

「おーい」

「だめよこの子今メンタル死んでるから」

「でもなあ、伝言頼まれちまったんだよ」

ほっぺたをぺたりと机につけて、見るからに落ち込んでいる風貌だろう私のそばで話す声がきこえて、ぐるりと顔の向きを変えて、なあに、と桃城くんの言葉に数テンポ遅れて答える。


「おー、あんな、放課後に部室棟の裏に来てほしいって、伝言〜」

「え、うん、誰から?」


「ん? えーじ先輩!」


まさか、どうして、桃城くんの言葉を理解するのに数秒、「え?」って聞き返すのに数十秒。そうしてもう一度繰り返されたその名前は、間違いなく昨日私が思いを伝えたその人のものでした。



14.下がらない微熱

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121215 修正






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