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授業終了のチャイムが鳴り響き担当の先生へと頭をさげると教室からでて、食堂へ向かう廊下を歩く。

ふ、と視線をあげて前を見るとこの学園の生徒会長である不知火一樹先輩の姿が見えた。
二年生と三年生じゃあまり接点がないように思えるが、学園に多くはいない女子生徒ということで仲良くさせてもらってる月子ちゃん経由でよく話をするようになったのだ。

声をかけようと口が先輩の名前の最初の一文字を形作ったとき、「会長!」と声があがった。真っ直ぐ前を見て歩いていた先輩はつい、と横に視線をずらして呼び掛けに応える。

多分あれは、どこかの委員会の委員長だろうか暫く真剣な話をしていたかと思うと二人はふいに破顔した。

真面目な顔と無邪気な笑顔とのギャップにどきりとした。

委員長が去ってまた歩きだそうとする背中に「一樹先輩!」と声をかけた。先輩は少し驚いたような様子で後ろを振り向くと、私の名を呼んだ。

「名前?どうした、何か―」

「背中に抱きついてもいいですか!」

思わず口をついて出た言葉に、私自身驚いた顔をしていただろうに、先輩は目を丸くさせたあと、大きく笑った。

「おー!こいこい!」


抱きついた背中からはふわりと優しいにおいがした。





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