お姫様抱っこで寝室まで連れていかれ、そっとベッドに降ろされる。
すると直ぐに虎徹さんに覆いかぶされ、先程よりも濃厚に、でも優しくキスされた。
「ンっ・・・ンうぅ、ッ・・・・・」
熱い舌で口の中を隈なく舐め回され、情けない声が洩れてしまう。
舌を伝って送り込まれた唾液は、こくんと音を立てて飲み込んだ。
他人の唾液を飲むなんてありえないと思っていたが、虎徹さんのだと思うと美味しく感じてしまうから不思議だ。
酸素不足で頭がぼーっとしてきたところで、やっと唇を解放される。
僕の唾液で濡れた唇を舐める虎徹さんが、たまらなくセクシーだと思った。
「あの・・・虎徹さん」
「ん・・・?なに?」
「で、電気・・・消して・・・」
寝室のライトは間接照明のみだが、至近距離ならば表情も分かってしまうくらい明るい。
これでは脱がされたときに陥没乳首だということがバレてしまう!
それだけは嫌だ。嫌だけど、虎徹さんとセックスしたい。でも身体を見られたくない。この身体のせいで萎えられたりでもしたら、立ち直れない。
「えー?やーだ」
「なっ・・・なんで・・・!」
「だってバニーちゃんの身体ちゃんと見たいし・・・それに、初めてなんだからお互いの顔見ながらシたいな、俺は」
「・・・・・・・・・や・・・」
「照れ屋さんだな〜、バニーちゃんは。ホントに可愛い」
そう言って、誤魔化すように触れるだけのキスをされた。
違う違う照れてるんじゃない。どうして分かってくれないんだろうこの人は。
どうやって制止しようか考えているうちに、Tシャツをがあっという間に脱がされてしまった。
当然上半身が露出することになり、咄嗟に乳首を両手で覆った。
「・・・・・・何で隠してんの?」
「・・・み、見られたくない・・・」
「・・・・何で?」
「だって・・・僕、乳首ヘンなんです・・・見ないで・・・」
じわり。自分で言ってて涙が出てきた。
もし萎えられたりしたら。一瞬でも嫌な顔をされたら、どうしよう。
「バニーちゃんの身体、全部見せて」
「、やっ・・・」
ぐい、と手首を掴まれ、乳首を覆っていた手を剥ぎ取られてしまった。
虎徹さんの視線が、僕の胸元に落とされる。
「・・・・・・あ〜、バニーちゃん陥没乳首だったんだ」
「っ・・・・・・」
「もしかして、コレ見られるのが嫌だったの?」
「・・・は、はい・・・だって、へん・・・・・」
「別にヘンなんて思わねーよ?それより、色がピンクで可愛い・・・触っていい?」
「んん、ひっ」
返事をする前に、埋没している乳首を指の腹で優しく撫でられ、くすぐったくて変な声が出た。
それを何度か繰り返されているうちに、頭の中がぽーっと熱くなってくる。
これが感じるってことなのかな・・・なんて思っていると、今度は陥没している乳首を吸い出すように吸い付かれた。
「ふあッ・・・!」
びっくりして、思わず高い声が出てしまう。じゅるじゅると下品な音を立てて吸い付かれ、もう片方は隠れている乳首を乳輪ごとぎゅっと摘ままれた。
「っひ、ぁッ、いた、いぃ・・・ッ」
「・・・あ、出てきた!出てきたよ、バニーちゃんのおっぱい」
「ふ、え・・・・・・?」
自分の胸元に視線を落とすと、吸われ続けていた方の乳首がぴょこんと顔を出している。
露出した乳首は、乳輪と同じ薄いピンク色。
そこを触れるか触れないかくらいの微妙なタッチで舐め上げられ、背中に電流が走った。
「ひァあああッ!やッ、ひぅうっ」
「かわいい・・・ココ、感じる?」
「ふぁッあぁ、ん、は、はひっ」
「んー、そうかー。こっちも出してやるからなー」
そう言うと、虎徹さんは先程まで指で弄っていたもう片方の乳首に吸い付く。
強く吸いながら時折舌を捻じ込まれ、舌先で隠れた乳首を刺激される。
普段露出することのないそこは異常に敏感で、些細な刺激でも頭が真っ白になるほど気持ち良かった。
「はあ、・・・ぁ・・・」
見れば僕の乳首は両方とも完全に露出し、ツンと上を向いている。
自分の乳首がこんな状態になっているのを見るのは初めてで、つい凝視してしまう。
僕の乳首を弄っているときの虎徹さんは、萎えるどころか楽しそうで安心した。
「下も脱がしていい?」
「・・・き、聞かないで・・・・・」
「はい脱がすぞー」
上を脱がされるときほど抵抗はなく、カーゴパンツと下着を一気に降ろされた。
これで僕は全裸になったわけだが、虎徹さんは1枚も脱いでいないどころかボタン1つ乱れていない。
それがなんだか悔しくて、起き上がって彼のネクタイに手をかけた。
「お、脱がしてくれんの?」
「・・・僕だけ脱いでるのは、悔しいので」
「んー・・・じゃ、お願いしよっかな」
するり。きっちりと結ばれたネクタイをほどく。
次にベストのボタンを外し、シャツのボタンに手をかける。
上からひとつずつ外すごとに肌が露わになり、この人の裸なんて見慣れている筈なのに、心拍数が上がってしまう。
ようやく全て外し終わると、虎徹さんは自分でシャツを脱ぎ、再びベッドに押し倒された。
初めてこんなに至近距離で、虎徹さんの身体を見る。
がっしりした胸板に、逞しい胸筋、浅黒い肌。
眼鏡をしていない為よく見えないが、目を凝らすと小さな古傷がいくつもあるのが確認できた。
ぼーっと彼の体に見惚れていると、急に声をかけられ体が大袈裟に跳ねた。
「緊張してる?」
「・・・はい、少し」
「大丈夫、俺もだから。バニーと一緒」
「・・・ほんとう、に?」
「本当。」
手をぎゅっと握られ、唇に優しくキスを落とされた。
絡めた指は少しだけ冷たくて、本当に緊張しているんだと思った。
「っあ、ぁん、ん、・・・っ」
初めての挿入は、想像していたより痛いものではなかった。
虎徹さんが、たっぷり時間をかけて丁寧にほぐしてくれたからかもしれない。
体内に勃起したペニスが入っているという圧迫感はどうしても抜けないが、それでも痛みはあまり感じない。
抜き差しもこれでもかという位スローペースで、僕に負担がかからないようにしてくれているのが分かった。
「っ・・・バニー、痛くない?大丈夫?」
「ッん・・・だいじょぶ、です・・・虎徹さん、は・・・?ちゃんときもちいですか?」
「・・・きもちいいよ・・・バニーのなか、すっげえあったかくて、きもちい・・・」
「よかった・・・ッあ、ん、ぁあ・・・っ」
抜かれるときよりも挿れられるとき、感じる。
内壁を擦られる感覚が気持ち良過ぎて、鼻にかかったような声が出てしまう。
そんな自分の声が女みたいで嫌だったが、彼は可愛い、可愛いと言ってキスしてくれる。
「っあ!やっ、ぁん、そこ・・・ッ」
「んー?ココもバニーちゃんの感じるところなんだから、ちゃんと可愛がってあげないと」
「ふぁあッ、やぁ、あん・・・」
奥を突きながら露出した乳首に吸い付かれ、身体がびくりと跳ねる。
散々弄られた僕の乳首はぷっくりと膨らみ、先程まで隠れていたのが嘘のようだった。
赤く色づいたそこを吸われ、指でこねられ、感じすぎてはしたない声が止まらない。
「ッぁあ、あっ、あン、んぅ・・・っ」
「・・・バニー、かわいい・・・きもちーの?」
「ンっ、ぅうんッ」
こくこくと必死に何度も頷くと、虎徹さんはそっか、と嬉しそうに笑った。
目尻にできた笑い皺が愛しくてたまらない。
「もっと気持ち良くしてやるからなー」
「ふぇ・・・やっ、こてつさ、ッ、待って!あぁッ」
虎徹さんの逞しい腹筋に擦られ、すっかり勃ちあがっているペニスを掴まれた。
先走りで濡れそぼったそれを手で扱かれ、同時に中を刺激されるともう堪らない。
あっという間に絶頂に追い込まれ、自分の腹に精液を吐き出してしまった。
「っ・・・こてつさ、いっちゃった・・・」
「ん・・・いーよ、きもちよかった?」
「はい・・・・・ぁ、っ」
ぐったりと弛緩している僕の体内から、勃起したままのペニスがずるりと引き抜かれる。
すると、虎徹さんは自らのペニスを手で扱き始めた。絶頂の余韻が抜けないまま、ぼんやりと彼の自慰を見つめていると、己の精液で濡れた僕の腹にあたたかい精液がかけられた。
初めてのセックスのあとは、ひたすら甘くて濃厚な時間が待っていた。
疲れて動けない僕の代わりに、虎徹さんが全て後処理を済ませてくれ、そのままお互い裸のままベッドで抱き合う。
僕よりも体温が高めな虎徹さんにぎゅっと抱き締められて、その心地良さにうとうとしてくる。
裸の肌と肌がぴったりとくっつくことが、こんなに気持ち良いなんて知らなかった。
「・・・あ、戻ってる」
「え・・・・・?あっ、」
指摘されて見れば、先程までぷっくりと膨らんで顔を出していた乳首が、また引っ込んでいる。
あのまま陥没乳首が治るのではないかと期待していたため、少し残念だ。
「・・・戻っちゃいましたね」
「俺は好きだけどなー、バニーちゃんの乳首。恥ずかしがって吸ってあげないと出てこないとか、可愛いじゃん」
「んー・・・・・」
虎徹さんが好きなら、いいか。
なんて、靄がかかった頭でぼんやり思った。
end.