カシャ、カシャ、カシャ
シュテルンビルトのとあるスタジオに絶え間なく響く、カメラのシャッター音。
眩しいフラッシュを浴びながらカメラに向かってポーズをとるのは、女性ヒーロー、バーナビー・ブルックス・Jr.だった。
ヒーローでありながら類稀なる美しい容姿を持つ彼女は、すぐにメディアに目を付けられた。
ヒーローとしての自分の売名にもなり、スポンサーの宣伝にもなるということで、副業でモデル業をしている。
着せ替え人形のように様々な洋服を着せられて、カメラに向かって微笑むだけでポイントが入るならと、彼女は喜んで被写体になることを受け入れた。
……のだが。
彼女の副業に不満を持つ男が、此処に約一名。
「……バニーちゃんよぉ、ちょっとそれ…短かすぎやしねえか?」
それは、バーナビーのビジネスパートナー兼恋人。
本日のバーナビーの衣装は、いつもの肌を一切見せないストイックなヒーロースーツとは対照的な、超マイクロミニスカート。
体のラインにフィットするタイトスカートではなく、ふわふわのチュチュスカートの為、少しでも動くと裾が捲れて下着が見えそうになってしまう。
「マネージャーは黙っててもらえますか」
「マネージャーって!俺はお前がこっちの仕事してる時暇だから仕方なくマネージャーみたいなことしてるだけでっ……」
「だったら口出ししないで下さい。お節介です」
「なっ…おじさんは心配して言ってんだよ!嫁入り前の娘さんがそんなに肌見せちゃいかんだろ!」
「はあ…そういう考えが古臭いんですよ……」
「古ッ…!?そ、それに!!なんだその靴!脚見せるのか隠すのかどっちかにしろ!」
「無機物に文句言わないで下さいよ…」
虎徹が文句を付けたのは、バーナビーが履いているブーツ。
普通の膝下のブーツではなく、膝の上まであるタイプのニーハイブーツだ。
ショッキングピンクのチュチュスカートに黒いエナメルのニーハイブーツ、そしてその間の絶対領域。そして上半身に纏うのはバーナビーの豊満なバストを強調すべく胸元がガッツリ開いたノースリーブのシャツ。なかなかエロティックな衣装である。
「…なんかさあ、バニーちゃんの衣装がどんどん過激になっていくのは気のせいか?」
「世間が僕にそういうのを求めているのでしょう。そういえば次は水着だったような…」
「水着ぃいいい!?ダメ!絶対ダメっっ!!!あんなん隠れてるトコより出してるトコの方が多いじゃねーか!」
「…僕の仕事を決めるのは僕ですから。それに、水着なんて着る機会なかったから少し楽しみにしてるんです」
「だってよぉー…バニーちゃんのおっぱいは俺だけのものなのに……」
「黙れセクハラオヤジ」
バーナビーは蔑むようにそう吐き捨てると、ブーツのヒールで虎徹の脛を思い切り蹴った。
能力を発動してないとはいえ、悪人を蹴り飛ばす脚力とピンヒールの相乗効果はかなりきつい。
脛を抑えて悶絶する虎徹を見下ろしながら、バーナビーはひとつ溜め息を吐く。
(…なんだか可哀想になってきた…)
「…何でそんなに嫌なんですか?水着」
「いや、だってよー、自分の彼女の水着グラビアが全国の男共のいやらしい目に晒されるのは流石に良い気しねーだろ…いや、俺は見たいよ?バニーちゃんの水着姿めっちゃ見たいよ?」
「……断わってあげてもいいですよ、水着の仕事」
「えっ!?えっ、何で!?」
「気が変わっただけです。そ の か わ り!」
「は、はいッ!?」
「おじさんが僕に似合う水着を買って下さい。おじさんの目の前だけで着てあげますから」
「えっ、い、いーの?」
「僕が良いと言ってるから良いんです。嫌なら結構です」
「い、いやッ!とんでもない!喜んで買わせて頂きます!!」
「交渉成立ですね。着替えてくるので待ってて下さいね、マネージャーさん?」
ふわりとピンクのスカートを翻して走ってゆくバーナビー。
その後ろ姿を眺めながら、超エロい水着買ってやろう、と密かに決意する虎徹であった。
end.
「彼女」って言われたのが嬉しかったバニーちゃん
♀バニーちゃんは長身で細身だけど巨乳っていうえろい体だといいです。