風呂上りのアイスって最高。
火照った体に冷たいアイスが染み渡っていく感じが堪らない。
ちなみに今日のアイスは甘い甘いバニラ。ちょっぴりリッチにハーゲン。なんちって。


vanilla



「…また何か食べてる」


決して大きくはないソファでひとり至福の時を噛み締めていると、咎める様な声が飛んできた。
声がした方を振り向けば、風呂上りのバニーちゃんが濡れた金髪をタオルで拭きながら立っていた。


「んー?アイスだよ。いーだろー」

「ふぅん…」


バニーは興味無さそうに呟くと、俺の体と肘掛けの間の狭いスペースに座った。
火照った肌と肌がぴったりとくっつき、そこからまた熱が生まれる。
いつもいつも何でわざわざそんな狭いトコ座るんだろうと思うが、どうやらコイツはくっつくのが好きらしい。可愛いヤツめ。



「…僕の分はないんですか?」

「あー、冷凍庫にチョコとイチゴがあったと思うけど」

「僕もそれがいいです」


バニーがそれ、と言ったのは俺が今食べているバニラ。
可愛いバニーの我儘を出来ることなら叶えてやりたいが、生憎コレが最後の1個だ。


「バニラー?もうねえよ。チョコかイチゴで妥協しろ」

「…それが食べたいんです」


お、今日は珍しく駄々っ子だなバニーちゃん。

薔薇色の唇をちょこっと尖らせて、下から上目遣い。計算された可愛さだが、可愛いもんは可愛い。
ぴったりくっついた身体を更に擦り寄せて見つめられる。

…あれ、おじさん、ちょっとピンときちゃったぞ。


「はいバニーちゃん。あーん」

「………」

「これがして欲しかったんだろ?」


少し溶けて食べ頃になったバニラアイスをスプーンで掬って、バニーの口許に持っていく。
バニーは俺とバニラアイスが乗った銀のスプーンを交互に見ると、ぱくりとスプーンを咥えた。
なんだか餌付けしてる気分だ。

美味しいかと訊くと、口をもごもごさせながらこくりと頷く。
その実年齢よりも幼い仕草が可愛くて、つい悪戯したくなってきてしまった。


「もっと食べる?」



もごもご。こくり。

もう一度、今度は先程よりも多めにバニラアイスを掬ってバニーちゃんに食べさせてやる。
彼がアイスを口に含んだところでカップとスプーンをテーブルに置き、アイスで濡れた唇に口付けた。



「!、ん、〜〜っ……!」


驚いて口を開きかけたところで舌を侵入させる。
バニーの咥内は熱いのに、舌だけがアイスのせいで冷え切っている。その温度差にひどく興奮した。
お互いの舌と舌の間でアイスを転がし、バニラとバニーの舌を味わう。やっぱり甘い。

アイスが溶けた後もしつこくバニーの咥内を舐め回し、完全にバニラの味がなくなったところで漸く開放してやった。



「美味しかった?」


バニーの口端から顎を伝う溶けたバニラを舐め取りながら問えば、酸欠と興奮で顔を真っ赤にしながらこくりと頷く。
その可愛らしい反応に、頬の筋肉が緩むのを止められない。

続きを食べようとテーブルに置きっぱなしの溶けかけたアイスとスプーンを取ろうとすると、バニーに手首を掴まれた。
どうしたのかとバニーの方を見ると、とろんとした表情にウルウル涙目な兎ちゃんが居た。


「もっと、食べたい…です…」



end.


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