あれ、帽子が無い。

トレーニングルームに入る前、私服の上に置いておいた筈の帽子が無くなっている。
どこやったかなーとロッカールームをきょろきょろ見回していると、見覚えのある後ろ姿と、見覚えのある帽子。



「バーニィちゃーん?それ、俺の帽子じゃない?」



びくり。


分かりやすく肩を揺らしたバニーちゃんの頭には、俺のものだと思われるハンチングハット。
ゆっくりとこちらを振り返った彼の瞳はどこか怯えていて。別に怒ってねーっつの。



「す、すみません、お借りしてます…」

「や、それは別に構わないけどよ…何で被ってんの?お前帽子は被らない主義ですとか言ってなかったっけ?」

「き…気分ですっ」

「ふーん…ま、いーけど。帰るからそろそろ返せよっ」

「あっ!ちょっ……」



金髪の上に乗っかった帽子をひょい、と奪う。
すると、まるで押さえつけられていたバネのようにぴょこん、と立った、

………うさぎの、耳?



「か、返して下さいっ!」

「いや、返してってコレ俺のだし……え?コレ何?何かのコスプレ?かーわいー♪」

「い゛っ…!引っ張らないで下さいっ!」



柔らかい金髪の間から覗く白く長い耳を引っ張ると、明らかに頭から生えている感触。
手触りは本物のうさぎの耳のようにふわふわでほんのり温かい。



「え…嘘、ホンモノ?」

「うっ……おじさんっ、助けて下さい…!」



珍しく狼狽しながら話すバニーの話を要約すると、こうだ。

ロイズさんにうちのメカニックの研究に協力して欲しいと頼まれ、快く承諾したバニー。
渡された薬を飲んだらあら不思議、可愛いうさぎの耳が生えてきてしまいました、という漫画みたいな展開だ。
キレ気味で斉藤さんに連絡したところ、解毒剤はまだ開発中らしい。ドンマイ!



「それにしても、よくできてんなー」



先程痛い思いをさせてしまったから、今度は極力優しく触れるとぴくりと反応した。
なるほど。ちゃんと神経が通っているらしい。
ふわふわの白い耳をつう、と指でなぞると、バニーが小さく身じろいだ。


「っ、ん……っ」

「くすぐったい?」

「ん…はいっ……」

「これは?」

「ふ、ぁ!」



うさぎの耳にふっと息を吹きかけてみると、バニーは華奢な体を震わせて床に座り込んでしまった。
可愛らしい反応に、悪戯心に火が点く。

ぺたりと座り込んでしまったバニーの頭を抱き締め、白い耳をぱくりと咥える。
もう片方はふにふに揉んでやると、次第にくったりと垂れてくる長い耳。ロップイヤーみたいだと、ふと思った。


「バニーちゃん、感じてんの?」

「ふっ…ン、…違、う…っ」

「あ、そ。なら好きにして良いよな?」

「ひっ!や、っ…!」



内側のピンク色の皮膚を舌でなぞると、バニーは体を大袈裟なほど震わせてぎゅっと抱き着いてきた。
唾液をたっぷり絡めた舌で舐め回していると、声にならない声を上げて悶える敏感な体。
密着している為、びくびく震えているのが直に伝わってくる。


…あー…これは、やばい。


斉藤さんに解毒剤の開発は急がなくて良いと、連絡しなければ。



end.

n番煎じな気がしてならないうさみみネタ。被ってたらごめんなさい><
耳コキとか駄目ですか。駄目ですよね。
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