いつもの万事屋、いつもの午後。

そしてこれもまたいつもの通り、サボり場所提供の礼だと称して手土産を持参してきた沖田くんとソファーに並んで座り、

手土産であるシュークリームに舌鼓を打っていたのだ。

こんなにも何もかもが日常通りだというのに。


「舐め方がやらしーんだよ…」


独り言を誤魔化すようにガション、と派手な音を立ててやかんを火にかける。

普通に考えれば何という事はない、沖田くんはただ普通に指についたクリームを自分で舐めとっただけのはずなのに。

無性にそれが艶っぽいというか、うっかり夜の彼を思い出してしまったというか。


―旦那、


「…っ」


体に染み付いた記憶が甦る。

触れられる指の温度、吐息の熱さ…自分の、心拍の速さ。

全てがまざまざと思い出されて、たまらず眼をつむる。


―銀時さん


「…くそ、」


部屋で待つ相手の顔がまともに見れなくなったらどうしてくれる。

熱を持った頬を乱暴に袖口で擦りながら、自分自身に毒吐く。


(つーか、あれくらいでこんな動揺するなんて、俺ぁどこの思春期よ?)


がくり、と項垂れるとまるでそんな俺を笑うようにやかんがピィ、と音を立てた。


(これ、考えてた事がもろもろバレたら恥ずかしくて死ねる気がする…)


と、結局はそんな事を悶々と考え過ぎ、戻りが遅いと様子を窺いに来たヤツにこの状態が知れてしまうのだが…。




あ?その後の一部始終?黙秘だ、黙秘!







お医者様でも草津の湯でも


<11.10.6>

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