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めっぽう優しく生え際をなぞる


少し大きめのバスタブ、ミルク色のお湯が張られたそこにゆったり浸かるわたしのお腹には刺青だらけの腕が回されている。
いつもより少し力の抜けた腕に自分の手を添えて、次の島の話や今日のベポはココが可愛かったよね、なんてことをクスクス笑い合いながらお喋りする。


「なぁ、今日はおれが髪洗ってやるよ」
「……どういう風の吹き回し?」
「フフ…たまにはそういうのもいいだろう?」


ほどよく身体が温まってきたところで、濡れて張り付いたわたしの髪の毛を耳にかけながら、ローが耳元で囁いた。

突然の提案に驚きながらも嬉しくて、素直にバスタブの縁に頭を乗せれば。お湯から上がったローが、泡立てたシャンプーで優しくマッサージするように指を動かしていく。
見慣れた顔が逆さまに見えて。あぁわたしは今、あのローに髪の毛を洗ってもらってるのか……なんて考えたら、何だか可笑しくなった。


「何笑ってんだ?」
「ふふふ、何かくすぐったいね」


泡を洗い流してぺたんとボリュームをなくした髪の毛、その生え際をなぞるようにして指を這わせたローが額にひとつキスを落とすと…口端だけを少し上げて笑った。




2010.8.14
2013.6.20修正
title / 人間、きらい


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