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キミとくっついていたい病


シャワーを浴びた後のローは、いつも上半身裸でうろうろしている。そのことに幾度となく文句をつけてきたけれど、自分の船の自分の部屋なんだから何してもいいだろ、とか何とかで。毎回あっさりと一蹴されて終わってしまう。

でも実はローも気付いているのかもしれない。風邪ひいちゃうよ、なんて心配している素振りを見せるわたしだけれど……本当は目のやり場に困っているだけで。そんなわたしの様子を見て、面白がって意地悪をしているんじゃないかって、そう思うんだよね。


「おい、こっち来いよ」
「……やだよ」
「おれに逆らうつもりか?」
「知らない」


ベッドの上で可笑しそうに低く笑うロー。わたしはローに買ってもらったドレッサーの前で、不貞腐れたように顔に化粧水を叩きこむ。ぺちぺちと音を立てるそれの所為で気付くのが遅れたのかもしれない。

あ、と思った時には――もうすでに、刺青だらけの腕に捕らえられていた。

後ろから抱きすくめるように腕を巻きつけてきたローの唇が、水分をたっぷり含んだばかりの瑞々しい頬に触れる。


「……くすぐったいよ」
「フフ…知らねェな」
「っ……もう」


柔らかい抱擁に、波立つ心の内。何だかくすぐったくて恥ずかしい思いは、チクチクと当たる顎髭の所為にして。

直に伝わるあなたの温もりに、そっと身体を預けてみた。



2011.3.30
2013.6.22修正


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