SSS | ナノ
ストーブの温もりとまた違う


ここ最近冬島の気候海域がずっと続いている。きっと次の島は一面真っ白な銀世界が広がっているだろう。ローの故郷の島と全く同じとはいかないだろうけど、わたしが見たことのない世界のほんのひとかけらでも感じさせてくれるはず。だからこうやって上陸が待ち遠しくていつもより早い時間に自然と目が覚めてしまうのを、きっとローは知らないだろう。

そうだ、ローが寝ている間に部屋を暖めておこう…そう思って、暖房を入れにこっそりとベッドから抜け出す。


「……さむ…」


ほんの数歩の距離のはずなのに、巻き付いていたローの温もりが途端に恋しくなって慌てて毛布の中へ潜り込んだ。


「……ん」
「あ……」
「……何だ、もう起きたのか?」
「うん、ごめん。起こしちゃった」


眠たそうに目を細めたローが、もぞもぞと動きながらわたしの身体に腕を絡めてくる。包まれる大好きな温もりに安心感を覚えて静かに目を瞑れば、微かにローが笑う気配。


「やっぱいいな……こういうの」
「……え?」
「朝目覚めた瞬間から、腕ん中にお前を感じられる」
「ロー……」
「こういうのが幸せだ、つったら笑うか?」
「……笑わないよ?わたしも一緒だもん」


だから今度は二人で笑いあって、温めあって。お互いの呼吸に静かに耳を傾けながら、朝日が昇るのを待とう。




2010.9.2
2013.6.20修正
title / にやり


戻る | *前 | 次#
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -