互いの仕事の忙しさが重なり二週間ぶりに会ったナマエは、先ほど無理をさせたのもあってか、今はおれの腕を枕にして静かに寝息を立てている。
(少し、痩せたか?)
シーツからはみ出た白い肩は細く頼りなげで。そこへ散らばる所有の印にそっと口づけを落としてから、空いた腕で少し冷えてしまった肩を抱き寄せた。
腕の中で収まりのいい場所を探しているのか、もぞもぞと身動ぎしていたナマエがぴたりと寄り添ってくる。寝息がかかって胸元がくすぐってェ。
母猫にミルクをねだる子猫みたいだ、なんてくだらないことを考えながら、シーツに散らばった少し乱れた髪の毛を手櫛で撫でつけてやる。
ゆっくり寝かせてやりたい気持ちが半分と、伏せた瞼をそっと開いてその瞳に己を映して欲しいという身勝手な欲がもう残り半分。無意識に伸ばした指先は産毛をなぞるような繊細なタッチで、柔らかな丸い頬を滑っていく。
「……ん……ろぉ…?」
「起こしたか」
「いま、なんじ……」
「まだ夜中だ。疲れてんだろ、寝てろ」
「ふふ…それ、だれのせい?」
「……おれか?」
「ほかにいたっけ?」
くすくすと小さく笑うナマエの声は、寝起きのせいか先ほどまでの行為のせいかは分からないが、いつもより掠れていて。乾いた唇を潤すように、舌を這わせて吐息を塞いだ。
弾力のあるそれを食むように何度も何度も口づけを交わせば、ぼんやりと焦点の定まらなかった瞳にだんだんと熱がこもってくる。
「んっ……ぅ…」
口づけを繰り返しながら、目と鼻の先で恥ずかしそうにまばたきを繰り返すナマエ。次第に呼吸が荒くなって、白い肌はだんだんと上気してきた。化粧を落としたその素顔は普段よりも数倍幼く見えるはずなのに、今はやけに色っぽい。
誘われるように、重なる唇の隙間から舌先を滑り込ませれば。なだらかな曲線を描く細い肩が、ふるりと揺れた。
短いまつげが震えてた、どうしようもなく愛おしいと思ったtitle / hmr
2012.12.27