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■御堂筋くんと電気ペン
「 ( あ、ボールペンのインク切れてしもた。 ) 」
『 ん、どうかしたの、御堂筋くん。 』
「 いや、インクが切れただけや。 」
『 じゃあ貸してあげよっか? 』
晴れた午後、6時限である化学の授業を受けているとカチカチと何度もボールペンの天辺を押す音が隣から聞こえてチラリと隣を見るとボールペンと睨めっこしている御堂筋の姿が目に入った。
気になって肩を軽くぽんぽんと叩いて話し掛けてみればインクが切れたとの事。まぁ、化学の授業は沢山カラーペン使うし、すぐなくなるのは当たり前の事。
それに、御堂筋くんはカラーペンなんてあまり使わないし、殆ど黒のボールペンばかり使っているからなくなるよね。
「 いや、大丈夫や。 」
無表情のまま言って、そのまま再び前を向いて黒板を見つめる御堂筋くんを見てから私も黒板を見つめてシャープペンをクルリと回しながら先生の話を右から左へと受け流しながら聞く。
黒板に書き込まれる無数の化学反応式や構造式をノートに書き込みながら憂鬱に浸っていると肩をつんつん、と控えめに叩かれて首を傾げて隣を見ると気まずそうな顔をした御堂筋くんの顔が目に入る。
嗚呼、やっぱりボールペンを借りたいのか。と思いながら此方をチラチラと見ながら何も言わない御堂筋くんを見て確信した。ふふ、と小さく笑う。
「 な、何が可笑しいんや。 」
『 いや、素直に貸してって言ってくれれば良いのになって思ってさ。 』
「 …………。 」
そう言うと黙り込んでじっと此方を見つめる黒い純黒な瞳を見つめ返す。素直に貸してって言ってくれれば素直に此方も貸すのになぁ、なんて笑みを浮かべながら心の中で思っている事を口に出した。
『 ちゃんと言わないと解らないなぁ、私馬鹿だから。 』
「 ッ、か、貸してくれへんか。 」
私の一言でポキリと折れた御堂筋くんが目線を下に下げつつもごもごと話し始めたのを見ながら思わず笑ってしまうと御堂筋くんの眉根が寄った。あ、不機嫌になったかな。
なんて思うけれど筆箱の中身を漁って外見が銀の色をした黒のボールペンを取り出して渡した。
『 どーぞ。後で何か奢ってね。 』
「 あざといなァ…ありがとうな。」
素直に受け取る御堂筋くんを見て心の中でニヤリと笑みを深めた。実は今渡した物は外見ボールペン其の物で本当はボールペンの天辺を押すと電流が流れる仕組みになっているやつだ。
「 ピッ!? 」
『 あっはは、ひっかかったー! 』
そのボールペン紛いの物を使おうと天辺を押した途端に流れだした電流に御堂筋くんは驚いたような声を上げてポカーンと口を開ける。それを見た私はくすくすと笑う。
「 ッ…。 」
『 ふふ、ごめんごめん。ちょっと意地悪したくなっちゃってさ、はい、これが本物ね。 』
「 もういやや…。 」
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過去ログですが、いかがでしたでしょうか。確か思わず思い浮かんだのが電気ペンでした気がします。
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