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■君月くんとクリスマス
暖かい水が頬を滑る。片目を瞑り、頭をわしゃわしゃと撫でるように髪についた泡を洗い流す。一先ず洗い流し、身体の泡も落ちたと認識した時、不意に肩の吸血痕に一瞬だが目がいく。
はぁ、と思わず溜息が出てしまうのを抑えきれず、そのまま吐き出す。すると家のチャイムが鳴り、急いでバスルームから出てはバスタオルを身に纏い、扉へ向かう。
覗き穴から扉越しに様子を見てみれば見えたのはピンク色の髪に黒縁眼鏡、そして黒いマフラーと見慣れぬ私服姿。君月だと分かると直ぐ様ドアノブに手をかけ、押し開く。
「 よう、ナマエ…ッて、おま、その格好…!取り敢えず、中はいんぞッ、 」
『 えぇ、どうぞ。 』
扉を押し開き、君月に顔を出すと直ぐ様顔を真っ赤にさせ、私を中にぐいぐいと中へ入れ、扉を閉める君月。
「 そんな格好で出てくんなよ馬鹿。 」
『 君月じゃなかったらちゃんと着替えてるわ。 』
「 そう言う問題かよ! 」
口を3の字にして告げればむに、と頬を掴まれ痛みが生じる。すると君月は、さっさと着替えてこいと告げ、私を脱衣所へ押し入れた。
『 …ねぇ、君月。 』
「 んだよ。 」
着替えながら扉越しに話を掛ける。他愛のない話をしながら私は着替えを済ませ、脱衣所の扉をノックすると君月は扉を開け、手を掴む。
手を引かれるがまま君月に引き寄せられれば君月の胸へすっぽりと収まった。自分より大きくて暖かい身体は男女の差を感じた。セーターからふわりと匂う君月の香りに目を閉じる。
「 会いたくてよ、来たんだ。 」
『 私だって、会いたかった。任務が連なって会える暇なんてなかったから。 』
頬が赤くなっていく。ぎゅう、と抱き締められると心臓の音が聞こえて、君月がちゃんとここにいるのだと実感させられる。きゅ、とセーターを掴むと顔を上げる。
「 ッ、見んなよ。 」
顔が赤い君月。滅多に見れないその顔はそっぽ向いてしまって、耳までが赤くなっていた。クスリと笑いを漏らしてしまえば照れ隠しからの舌打ちが帰ってくる。
すると離れては腕をひいて部屋へ向かう君月。首を傾げながらついていくとベッドの前に止まり、君月は私をベッドに押し倒す。
「 目、閉じろ。 」
『 …?ん。 』
言われるがまま目を閉じた。すると、耳に冷たい感触。そして次に感じる、唇に熱。すぐ離れてしまったが、余韻が残る熱に頬が一段と赤くなる。
「 …メリークリスマス、ナマエ。 」
『 ふふ、メリークリスマス、士方。 』
耳に触れてみると冷たい感触。イヤリングだと確信すると君月の後頭部に右手を添え、引き寄せては耳に小さく口付けをした。
『 これからもよろしくね。 』
「 あたりめーだ。 」
重なる熱に、そっと目を閉じた。ずっと、この関係が続きますように。
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君月とクリスマス、どうでしたでしょうか。長編ではまだ君月くんと絡んでいませんが、後々絡ませようと思います。恋人設定で挑みましたが、やはり君月くん難しいですね。この作品はボカロのハートアラモードをイメージとして取り入れました。ぜひ聞いてみてください。
[ BacK ]