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ミカエラとクリスマス




「 姉さん! 」

『 ミカエラ、こんばんは。 』




 寂れた街中、黒いベンチに座っている姉さんに駆け寄った。僕と同じクリーム色の髪に僕とは違う背格好。軍服だけを身に纏う姉さんは寒そうに手を吐息で暖めようとしていた。




「 何でそんな格好してるの、姉さん!ほら、風邪引くよ。 」

『 こっそりこっちにきたの。グレン中佐に見付かったらあれだから、動きやすい格好じゃなきゃ困るもの。 』

「 だからって…! 」

『 ねぇ、ミカエラ。 』




 焦っている僕の言葉を姉さんは遮り、僕の名前を呼ぶ。途端に頬へ添えられた冷たい指先に僕は一瞬、反応する。




 会いたかった。と姉さんは告げた。赤くなっている頬は冷たくなって赤くなったものなのか、それともはたまた嬉しさからよるものなのかは僕には分からない。




 頬に添えられたままの指先に僕は手を添えた。すると途端に変わる、姉さんの表情。哀しげな、そして切な気な目付きに僕は苦笑を浮かべざるを得なかった。




「 姉さん、そんな顔しないで。…今日は、会いたくて会いに来たんだから。 」

『 次会ったらもう敵じゃない。…私、貴方を討つなんてできないわ。 』

「 姉さん…じゃあ、僕といこう? 」




 途端に丸くなる姉さん目。それを見た僕はクスリと笑い、冗談だよと告げればむに、と掴まれる頬。すると姉さんは手を離す。




「 そうだ、今日は姉さんに渡したいものがあってさ。 」

『 渡したいもの? 』

「 うん。 」




 手に持っていた紙袋を姉さんに渡せば開けていい?と聞いてくるので頷くと興味津々に紙袋の中にあるラッピングされた物の中を見る、姉さん。




『 マフラー? 』

「 うん、姉さんにピッタリだと思って。 」




 ありがとう、と微笑む姉さんに僕は微笑みを返した。マフラーを早速身に付ける姉さんはマフラーに顔を埋め、嬉しそうに顔を弛め、こちらを見つめた。




『 じゃあ、私からも。 』

「 え、ああッ、ちょ、姉さ、 」




 前髪を上げられたと思えば額に柔らかい触感。途端に顔が赤くなればバッ、と姉さんから一歩距離を置き、僕と同じく頬を赤くしてこちらを見つめる姉さんと目があった。




『 メリークリスマス、ミカエラ。 』

「 …ッ、メリークリスマス、姉さん。 」




 恥ずかしげにそう返す僕に姉さんは口を3にさせ、名前で呼んでくれてもいいじゃない、と告げるので僕は遠慮なく距離を縮め、姉さんを引き寄せ赤く色付いている小さな唇に一瞬だが口づけた。




「 メリークリスマス、ナマエ。 」




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  ミカエラとクリスマス、どうでしたでしょうか。長編ヒロインとミカエラは姉弟でしたがヒロインが養子設定と言うこともあって恋人設定にさせていただきました。あれかなー、と思う部分もあったと思いますが、甘めにチョイスしてみました。最初の描写は切な気ですが、ミカエラくん、頑張りましたね。この作品はまふまふくんが歌っている、ショパンと氷の白鍵をイメージとして取り入れました。ぜひ聞いてみてください。




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