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嫉妬するフェリドさん




 最近、ナマエに会ってない。最後に会ったのは確か一ヶ月も前。僕はいつも一緒にいるはずのミカくんとは別行動で地上に来ていた。



 寂れた街並みに冷たい夜風が僕の頬を掠める。そんな最中、散歩がてらに奥へ進んでいけば見慣れた、小さな後ろ姿。



「 やぁ、ナマエ 」

『 あら、バートリー。お久しぶりね。 』

「 一ヶ月ぶりかなぁ〜、あ、僕に会えなくて寂しかったかい? 」

『 生憎、寂しいとか感じてないわ。任務が立て続けに入って貴方の事、忘れていたもの。 』



 と告げるナマエの顔には少しの疲労が見えていた。ちょっとだけ、任務に嫉妬する。まぁ、僕も色々あって疲れているけど。



 だけど、ナマエに会っただけでも疲れが消えた気がする。すると重い溜息を吐くナマエに僕は首を傾げた。



「 何かあったのかい? 」

『 赤髪の吸血鬼に血を吸われてから調子悪いの。…貧血も治ってないし。 』

「 …僕意外に血を吸わせたんだ。あはぁ、ナマエったら酷いなぁ。君の血は僕だけのものだろう? 」

『 知らないわよ…私、貴方に憎悪しかないわ。 』



 途端に眉間に皺がよる。嗚呼、不機嫌なナマエもいいけどやっぱり、



「 艶のある表情がいいよねぇ、 」

『 ?バートリー、何を、 』



 思わずナマエの足を払い、壁に押し付けた。恐怖に滲む目と、表情に底知れぬ満足感。衝動のまま首筋に吸い付き人間が言うキスマークとやらをつけるとびくりとしなる腰。



「 君は、僕だけのものだろ? 」

『 っ、ちが、ぁ、は、っ、 』



 恐怖と快楽が入り交じった表情。首筋を舐め上げ次にかぶりついた。ずぷ、と入っていく僕の牙を素直に受け入れるこの瞬間が堪らない。



「 お仕置きだねぇ、ナマエ。 」

『 ん、ぅ、なにす、 』



 口論するような口にかぶり付くと必至に目を閉じるナマエ。息をしようと開く口に舌を入れればナマエの血と一緒に唾液が顎を伝い、落ちていく。



『 は、んっ、 』

「 そうだ、 」



 ミカくんのようにナマエも吸血鬼になってしまえばいい。がり、と口内の肉を噛むと血が口一杯に広がる。ナマエの後頭部を抑え口付けをしようとすればナマエの両目から滑り落ちる、涙。



 あーあ、やる気をなくした。ぱっ、と離れるとナマエは僕に告げる。



『 ら、乱暴は、いや。 』



 結局、堕ちたのはどっちか。口内の血液を飲み干し、唇に小さく口づけを落とした。




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