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木舌さんと四月馬鹿




 亡者狩りから戻ってきて早一時間が経過した。その時間は亡者の状況や亡者を何処で狩ったかを軽く書類に纏め、我が獄卒達のお父さんとも言える助角さんに書類を渡し、丁度通り掛かった佐疫に木舌さんが呼んでいることを伝えられ、食道へと向かう。




『 木舌さん、呼びましたー? 』

「 お、来た来た!此方だよ、ナマエー。 」




 食道に入るとテーブルの真ん中にドン、と座っている木舌さんに入り口から話し掛けた。くいくい、と手招きするのを見てからまた酒を飲んでいたのかと半ば呆れてしまうのは毎日の事だ。




『 木舌さん、また呑んでたんですか?程々にしないと今日私が狩ってきたアル中亡者と同じ風になってしまいますよ。 』




 まだ飲む木舌さんとあの亡者の面影が重なって見えた。あのでろんでろんに酔った亡者を思い出せば何だか居たたまれない気持ちになるが私は木舌さんの後輩のため、木舌さんには逆らえないのだ。




「 ほら、飲め。 」

『 でも、私はお酒なんて飲めな、んぐっ! 』




 木舌さんめ、喋っている最中にコップを口に押し付け、一気に逆さにしやがった。途中まで飲めていたがやはり一気には限界があり、気管に入ってしまった。げほげほ、と噎せる私に木舌さんは頭を撫でて告げる。




「 美味しいだろ? 」




 爽やかな笑みを殴りたかった。握りこぶし作った時にふと気になる。可笑しい、一気に飲んだのにも関わらず目眩がしない。




 確かに、お酒の味がしたのにも関わらずだ。首を傾げると木舌さんはさらりと有り得ないことを告げた。




「 いつもノンアルコール飲んでるからね。 」

『 木舌さん…! 』




 感動した。木舌さんがノンアルコールを飲んでいることに。これは皆に伝えなければ!と言わんばかりに立ち上がると木舌さんはキョトンとした顔つきで此方を見つめる。ぐっ、と親指を立て、キリリッとした顔つきで告げて見せた。




『 皆に知らせてきます! 』

「 えっ、あ、ちょっ、 」




 走って入り口に向かった。すると運悪く通った空き缶を棄てる食道のおばちゃんとぶつかり、尻餅をついた。




 いたた…と呟いていると足元に転がってきた木舌さんが飲んだだろう一升瓶。あれ、ラベルが剥がれかかってる。




 そっとラベルを剥がしてみれば現れる、達筆な文字でか書かれたアルコール40パーセントと言う文字。




 剥がしたラベルを見てみればノンアルコール!とでかでかと書かれた汚い文字。あ、きっと平腹さんの文字だ。たちまち怒りが立ち込め、一升瓶を持って立ち上がる。




『 ノンアルコールじゃねぇじゃん! 』




 ぶんっ、と一升瓶を木舌さんにぶん投げれば焦った声の後に聞こえたふごっ!と言う声。ぱんぱんと手を払った後に冷たい口調で告げた。




『 四月馬鹿は精神科へどうぞ。 』




 私が出ていった後に食道のおばちゃんの悲鳴が聞こえたが気にしないことにした。




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  急に思い付いたエイプリルフールネタ。木舌さん可哀想ですね…。お目汚しすみません。




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