『 グレン中佐。 』

「 おー、ナマエ。久しぶりだな。 」

『 久しぶりだな、じゃないですよ。…私、今日任務に駆り出されました。貴方の代わりに。 』

「 あー…そりゃまあ、お前は優秀だし柊家からも信頼されてるしな。お疲れさん。 」



 ___それと、と言葉を繋げるグレンにナマエは首を傾げた。無表情ながらも冷気が溜め込まれている廊下では緊張がありふれていた。



「 気を付けろ。 」

『 …は…? 』



 急な言葉に間抜けな顔をするナマエを置いてグレンは歩みを進め、去っていく。小さい頃の吸血痕を服越しに撫でた。



 時間を確かめようと開いていた懐中時計を閉じ、ゆっくりとポケットへしまう。背後から聞こえる賑やかな声に弟の事を思いだしながら任務へと向かった。



『 ___まって。前方にいるか確かめてくれる。 』

「 あいさー。 」



 インカムを使い、後方のビルにいる仲間へ命令をすると前方に何がいるのか確認をしてもらい。ザザッ、と音がした後に連絡が入った。



「 前方少しいった先、右の背の高いビルの影、電柱の上、前方奥に二体ずつヨハネの四騎士を確認。人間は見付からないようで探してる様子。一々建物の影を移動してるから表に誘導して欲しい。 」

『 了解。吸血鬼とかはいないのね? 』

「 あー…奥にいったらいるかもしれない。多分端の雑魚で足止めしてから不意討ちで来る可能性がある。そこの通路は進まずの通路行って欲しい。 」

『 …そう。二手に分かれるのは危険…貴族級がいないとは言えど雑魚でも囲まれたら少人数じゃ…。 』



 下手に飛び込んでは死者が出る可能性が非常に高い。ここは突破するより此方に誘導をした方がいいかと思い、インカムで指示を出す。



『 手持ちの銃でビルの窓ガラスを一部破壊して音で雑魚を引き寄せる。その時に奥の吸血鬼が出てきたら狙撃。 』

「 おっけー。それと、貴族級が出てきた場合は? 」

『 後方援護そのまま。 』

「 …此方は飲まないけど、そちらは一錠コース?二錠コース? 」



 ポケットに入っている薬へと目を向けた。薬を服用するとなると話は別だ。当然、仲間の動きも早くなるし攻撃が当たる可能性だってなくはない。なんせ、焦点が合わなくなりがむしゃらに打つからだ。



『 貴族級が出た場合、後方に下がる。二人いた場合は退散。____一体の場合、 』



 ____一錠コースで。その言葉に皆が息を飲む。太股についているホルスターからマグナムを取り出すと片手で構え、1歩前へ出ては背の高いビルの窓へ銃口を向けた。



 バンッ、と一回撃てば窓ガラスがバリンッと割れ、直ぐ様ホルスターへしまうと首につけている小さな太刀の形をしたネックレスを引きちぎると大きくさせ、奥からやって来る吸血鬼とヨハネの四騎士に目を向けた。



『 狙撃援護! 』

「 了解。…焦点を定めろ、虎眈鬼王。 」



 インカムを通じて言葉の後に響く銃撃音。吸血鬼の首を中心に狙っていく仲間。横からきたヨハネの四騎士を避け、地面を蹴り太刀を横から斬り込ませると消えていくヨハネの四騎士。



「 ッヤバい!右横方に吸血鬼の援軍あり!貴族級のやつもいる! 」

『 ッ…粗方片付いた!体制を整えるから後方にさがッ_____ 』



 インカムを通じて話し、武器を肩に担ぐと踵を返し、後方へ走り戻ろうと命令を言っている途中でお腹を引き寄せられ背中に何かが当たる。



「 引き返しちゃうの? 」

『 あ_____、 』


その目に見えているのは
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