ここは、どこだろう。見たことのないこの部屋の景色はどこか違和感を感じる。あれ、本当に見たことがない?あるような、ないような。
「 あは、起きたの。 」
『 …!?わ、私? 』
「 そうよ。 」
振り返れば後ろにいる、吸血鬼の姿をした私。吸血鬼独特の犬歯、そして赤い目が私に混乱を生み出す。頭が真っ白になるのを感じた私は呆然と立ち尽くすしか術がなかった。
何故、目の前の私が吸血鬼の姿をしているの?そんな疑問が生み出される最中私は目の前の私をじっと見つめた。すると投げ出された言葉。
「 ふふ、どうして?って言う顔してるわね。教えてあげましょうか? 」
『 不本意だけど…ね。 』
目の前にいる私はそっとベッドに座る。そのまま立ち尽くす私を憂いに満ちた目で見つめた。一方、私は謎を早く知りたくてしょうがなかった。
「 私は貴女が抱える妬みと羨みよ。吸血鬼へ向けている、貴女の妬みと羨み。 」
『 は、私が?吸血鬼を妬み羨んでる? 』
「 力も強く、機敏性も高いあの身体能力さえあれば守れないものはない。 」
『 そんなわけ 』
否定の言葉を漏らそうとした矢先に脳裏に過った忌々しい過去の映像。私が陣形を崩し、間違った命令をしたせいで刺し殺され吸血され死んだ昔の仲間たち。今の仲間たちは、まだ生きてる。
「 もう散々、惨めだと思ったでしょう?そのときよ、貴女が抱え始めたのは。 」
「 何度首を吊って死のうとした?何度自分を殺そうとした? 」
「 貴女が弱かった。只それだけの事よ。 」
言葉の羅列が私を責め立てる。同時に、脳内に響くはずのない仲間の悲鳴や罵倒が更に私を追い詰める。ああ、やめてほしい。
「 そういえば、鬼呪装備が暴走して手にかけた仲間もいたわね。 」
やめて。
「 あと、 」
やめろ
「 死にかけの仲間を殺めたことだって。 」
終わりに気付いて
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