「 本当に、三人で行くの? 」

「 桃山は精神が崩壊寸前だ。…リーダーは死んだんだ、三人でも行くしかないだろう。柊暮人様からの命令だ。 」

「 まーた、あの柊家?ずっと前に尋問受けてからイヤーな印象しかないよ。 」



 桃山を医者に任せてから早一時間。今回は新宿奪還の任務で新宿へ足を運んでいた。相手の様子を窺っているグレン中佐に近付き、粗方の説明を大雑把に告げた。



「 そうか…あいつは死んだのか。桃山は大丈夫なのか? 」

「 さぁ。 」

「 そうか。 」



 直ぐ様背を向け、再び相手の様子を窺い始めるグレン中佐に少々腹が立った。ぐ、と奥歯を噛み締め、一歩を踏み出し責めるように言葉を放つ。



「 中佐は悲しくないのですか!血は繋がっていなくとも、中佐の大切な家族でしょう!?大切な家族が無くなった悲しみは比じゃないことくらい、貴方だってわかるはず! 」

「 キーさん、おちつ… 」

「 私は! 」



 ___大切な仲間を、家族を、失った悲しみは大きい!制止に入る色崎の言葉を遮り、俯き気味に叫べばグレン中佐の寂しげな声が返ってきた。



「 如月。 」

「 俺だって、つれぇんだよ。 」



 背の言葉に、小さな言葉で「 すみません、取り乱しました。 」と告げ、背を向けては数ヵ月前に取ったチームの写真を取り出し、眺めた。すると自然に流れる涙に奥歯を噛み締める。



「 あんたは、生きてほしかった…な。 」

「 キーさん… 」



 ぼたぼたと流れる涙は、写真に落ちていく。涙で歪んだ視界は治らず、涙を袖で拭うことによって治まっていく。写真をもう一度見つめたあと、胸ポケットにし舞い込むと振り返った。



「 グレン中佐 」

「 なんだ 」

「 奪還作戦、必ず成功させましょう。 」



 その言葉を合図に外套が靡く。私は、リーダーが成し遂げてきたことを代わりに成し遂げる。死ぬかもしれない未来に、少なからず畏怖しながらもそう固く誓った。



 手に握った、銃に目をやると背後に、声。



「 やれやれ、今回も楽しむとするか。 」

「 精々、楽しませろ人間共。 」



 鬼呪装備の囁きが、聞こえた気がした。


悲しみの果てに
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