荒ぶれた町の中、人気がなく広い場所にシノアチーム、そしてナマエのチームが集まった。対立するかのように両チームが立ち、不穏な空気が漂う最中、ナマエは柔らかな笑みを浮かべ説明を口にした。



『 時間は無制限。両チームの決められた人物一人を気絶させるか、捕まえたら終了。もし、ヨハネの四騎士及び吸血鬼が出た場合は…早急に排除、でお願い。 』

「 分かりました。では、此方は…そうだ、優さんにしましょう。 」



 優の方を向き、指名をされた優は目を丸くさせるが途端に笑みを浮かべ、任せとけ!と至極愉しそうにしていた。此方は誰にしようか…と考え目についたのは如月。



『 こっちは如月でいくわ。 』

「 分かりました。では、三分後に開始と言うことで。各自配置についてください。 」



 各々が一斉に駆け出す最中、私は優が走っていった方向を見つめたあと懐中時計を取りだし時間を確認。そろそろか、と言った頃合いに私は持ち場へ急いだ。



「 リーダー 」

『 なに? 』

「 指示をお願いします。 」



 インカムを通じて指示をお願いしてくる如月に私は鬼呪装備を撫で上げた。たまには命令せずに自由にやり、リーダーがいなくても大丈夫かどうかを見るのもいいか、と思い私は口にする。



『 合図はしない。 』



 そう告げ、インカムを切る。すると、ビルの影に見えた銀色の髪に目がいき、鬼呪装備を小さくさせると胸ポケットにしまいこみ、後を追った。



「 こちら色崎。桃山、待機してる? 」

「 嗚呼、色崎から見て六時の方向にいる。つまり正面だな。 」

「 俺には術、かけないでね。 」

「 努力はする。 」



 そう言う桃山。俺は苦笑を浮かべつつあちこちに張ったワイヤーに動きはないか意識を集中させ、誰も引っ掛かっていないことを確認すると目を開け、ビルの影から様子を窺うことに。



「 …きた。 」

「 三時の方向だな。 」

「 合図したら幻術をかけてくれ。 」



 俺は相手が丁度いい位置に来たことを確認するとワイヤーを交差するように腕を下に下ろし、ワイヤーとワイヤーの距離を一気に縮めると身動きできなくなる相手。



「 なっ…! 」

「 こんにちは、まさか真っ正面からきてくれるとは思わなかった。 」

「 …なんてな。 」



 捕まった男は君月士方。ピンク色の頭が特徴的。話をかければ勝利を確信したかのように微笑む彼を見て背後に感じた鋭利な視線。



「 残念、上からだったら良かったのに。 」

「 え…!? 」



 ワイヤーで放たれた矢を捕獲するとニタリ、と意地の悪い笑みを浮かべ、桃山へ合図を出す。



「 子守唄を始めろ、幻迷鬼如。 」


頭の中で分かっていたのに
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