『 訓練? 』

「 はい。私のチームと、ナマエさんのチームで訓練をしようと思いまして。 」

『 シノアのチームって優がいたよね。 』

「 はい、いますよ。 」



 数日後、退院をしていつも通り資料館で寛いでいると話し掛けてきたのは柊シノア。あの有名且つ怖い柊家の子供。手に持っていた本を閉じればシノアを見上げた。



 今のところ、病み上がりを考えてなのかグレン中佐は任務を入れてくれなかった。入れる気配もない今が誘いに乗るチャンスだろう。本を本棚に戻し、私はシノアに告げる。



『 構わないよ。 』

「 ありがとうございます。では、明日のー…昼はどうでしょう? 」

『 多分大丈夫だと思う。 』



 では、明日の昼に。と告げ、シノアは背を向け出ていく。先程戻した本の横にある別の本を手に取り、文字を追うも何故か集中ができない。昨夜見た夢がまたもやもやと思い出してきて、尚更。



 毎回見ているフェリドとは違う、フェリド。優しい手付きで私の頬に触れてきたフェリドは何だか紳士的で、それを思い出すだけで顔が赤くなっていくのがわかった。



『 しゅ、集中できない…。 』



 本を閉じ、必死に夢の中で起こった出来事を忘れようと頭を振るが頭から出ていかないフェリドに嫌気がさしたのは気のせいじゃない。



 どうすればいいか考えていればふと目についた赤い背表紙の分厚い本。赤、と言えばあのやたらでかい図体の吸血鬼はまだ名古屋にいるのだろうか。



 いるとして、また名古屋にいったら遭うことになる。そのときは必ず仕留めなきゃならない。と思うと殺される可能性も出てくる。



『 バートリーならともかく、あの吸血鬼の名前がわからない。 』



 名前を知らない時点で上層部に話した所で何になるのだろうか。グレン中佐なら知っている、かもしれないが。頭を振り、今本に集中しようとしたとき、またまた思い浮かぶフェリドの顔。



 もういいから出てくんなよ、と額を本で叩くと次は忘れることができてそれから本に集中することができた。


想うように
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