田噛先生
木舌先生の化学基礎の授業が終わり、佐疫先生に怒られている木舌先生を放って私はそそくさと化学室を後にし、教室に戻る。
今日はアルコールランプ飲まなかったけれど、まさかトロピカルフルーツ味のチューハイを隠し持っているとは予想外だったなあ。
教室に戻ると私は化学基礎の教科書をロッカーにしまい、数学の教科書を取り出す。あー、次の授業の担当の先生は田噛先生か…、人気なんだけど面倒なのかあまり会話が成り立たないんだよなあ。
筆箱を机に置き、教科書とノートを開き、課題がやられているかどうかをチェックしてからパタリと閉じ、日付と曜日以外何も書かれていない黒板を見る。
田噛先生は校長先生の次に女子に人気だ。何ともあの冷たい瞳に、眠そうな瞳、冷めた性格が人気らしい。私はそのよさが分からない。恋愛に目覚めてないからか。
まぁ、いいか。欠伸を一つ落とし、机の中から昨日古本屋で購入した古書を取り出す。英文で埋め尽くされたこのページはフランス語だ。
「 あー、だりぃ。 」
田噛先生だ。のらりくらりと入ってきてはお決まりの台詞を吐く。怠いなら教師やめればいいのにと何度思ったことだろうか。
「 出席とんのだりぃ…、 」
『 でも取るのが先生達での決まりです。 』
「 …、ちッ、 」
渋々といった様子でクラスメイトの名前を読み上げていくがある男子のところで返事が止まった。嗚呼、何と言うことだ、寝てしまっている。よりにもよってこの田噛先生の授業で。
「 …起こすか。 」
そして取り出し、振り上げたのは、
( 先生待って、それツルハシです。 )
学級日誌 08 / 31 ( 月 )
記入者名 : 名前
開始時刻 : 12 : 55 〜 13 : 45
授業担当 : 田噛先生
授業科目 : 数学
授業場所 : 教室
授業内容 : 誰か田噛先生のツルハシ没収してください。このままだと必ずこのクラス内で死傷者が出てしまいます。そして怠いと言う口癖を止めてあげてください。クラス内が皆が怠惰感に包まれてしまいます。
記入時刻 : 13 : 50
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