木舌先生
平腹先生の美術が終わり、教室に戻ると一番先に美術の教科書をロッカーにしまい、次に化学基礎の教科書とノートを取り出した。
次の授業の担当の先生は木舌先生だ。ゆっくりとのたのたとのそのそ、と化学室に向かう。あーあ、木舌先生の授業めんどくさいなあ。
この間なんてアルコールランプのアルコールを飲もうとした始末だし、その時は大変だったな。生徒全員、私は傍観していただけだけど…。
生徒全員で止めにかかったけど抑えきれなくて、やっと止められた時は佐疫先生が注意したからだ。あの時の佐疫先生の目、冷たかったなあ。
そんなことを思い出しつつ化学室の前に辿り着き、私は引き戸をガラガラ、と音を立てながら中へと入る。すると木舌先生が目薬を差していた。
『 また乾燥したんですか?あんまり差しすぎると視力落ちますよ?眼鏡かけた木舌先生なんてありえません。 』
「 うん、心配してるのか貶してるのかハッキリしてくれないかな、名前。 」
『 やだなぁ、ちゃんと心配していますよ。 』
「 嘘だね、貶してるよね。 」
間髪入れずにツッコミをする木舌先生を見てから出席簿を置き、席につく。そろそろ授業が始まるなぁ、あー、眠い眠い。
すると授業開始の鐘が鳴り、皆が席につく。直ぐ様立ち上がり号令をし、また席につく。怠い作業だ、早く寝たくてしょうがない。
「 今日はアルコールランプを使います。…あれ、アルコール足りないや。ちょっと待っててね。 」
すると机の下から取り出してきたのは鮮やかな水色のトロピカルフルーツ味と書かれている缶。あれ、それって…、
( それ、チューハイですけど。 )
学級日誌 08 / 31 ( 月 )
記入者名 : 名前
開始時刻 : 11 : 55 〜 12 : 45
授業担当 : 木舌先生
授業科目 : 化学基礎
授業場所 : 化学室
授業内容 : 木舌先生、トロピカルフルーツ味のチューハイ隠し持っていました。佐疫先生、厳しい監視をお願いします。
記入時刻 : 12 : 50
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