校長先生







 校長先生の声が皆集まる体育館の中に響く。黒いスーツを見に纏う校長先生はいつも通り女子の視線を独り占めしている。






 赤い紅玉のような目に、高い身長に、低い声。全てが女子の視線を引き寄せ、魅了させている。回りの女子は夢中らしいけれど、私は現在眠くてしょうがない。






 校長先生や、他の先生の声全てが子守唄に聴こえてもう私は欠伸を抑えきれなかった。ふぁあああ、と校長先生の声と混じるも私の欠伸は校長先生の声に負けてしまったようだ、嗚呼情けない私の欠伸。






「 では、日々欠かさず勉学に励むように。斬島、後は頼んだ。 」





「 はい、ありがとうございました。 」






 校長先生が階段を下っていくのを見て、やっと長たらしい話が終わった、と気分が急激に上がった。斬島先生の一言で皆が教室に戻っていくのを見て、私もいそいそと移動を開始する。






 すると一人背中を向け、何処かへ向かっている校長先生の背中が見え、私は興味本意で皆の列から離れ、校長先生の背中を追った。






『 ( …あれ、ここ図書室じゃ…、何のために? ) 』




「 そこにいるんだろう、出てきたらどうだ? 」




『 あちゃ、バレちゃいました。 』






 扉の横に立ち、中を伺う私に校長先生は気付いたのか声をかけてきた。渋々、と中に入ると校長先生はジャケットの裏から煙管を取り出した。






 火をつけ、煙を肺の中に取り込むとそれを吐き出す校長先生に私は近付き、煙管に手を伸ばし、それを取り上げた。そして一言ぽつり。






『 校長先生、 』






 ( 学校内は禁煙です。 )






 学級日誌 03 / 31 ( 月 )






 記入者名 : 名前






 開始時刻 : 08 : 55 〜 09 : 45






 授業担当 : 校長先生






 授業科目 : 全校集会






 授業場所 : 体育館






 授業内容 : 主に校長先生のありがたく長い話。平腹先生と田噛先生は寝てました。谷裂先生はうんうん頷いて聞き入り、佐疫先生はじっと動かず、校長先生を見ていました。もしかして気でもあるのでしょうか。今後の進展が楽しみです。斬島先生は寝ている学生がいないかどうかチェックしていました。次の斬島先生の授業面倒なので休みたいですが保健室の先生今日休みでいないので悔しいですチキショーめ。






 記入時刻 : 09 : 50








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