「 おい、ナマエ。 」



『 青峰くん、どうしたの? 』



「 バッシュが壊れちまってよ、その…、 」





晴れた日の午後、教室で日直の日誌を書いている私に青峰くんは教室に入ってきて私に近づく。そっと首を傾げて照れながらその…と、何度も言ってくる青峰くんが理解できない。何をしたいのか、解らない。





「 あ、明日空いてるか? 」





嗚呼、何だ一緒にバッシュを買いに行こうという事か。ふふ、と笑ってしまい、怒り出す青峰くんをごめんごめんと言いながら宥めてから一息つき、シャープペンを日誌の上に置き青峰くんの顔を見上げる。





『 うん、いいよ。何時頃がいい? 』



「 あー、えっと、十二時半に駅前の噴水で。 」



『 青峰くんにしては随分とロマンチックだね。 』



「 うるせー、どうだっていいだろ。 」





パタリ、と日直の日誌を閉じて手に持ち、立ち上がって教卓の上に乗せて青峰くんの方に向き直った。夕日に照らされた顔は照れているのかわからなくて、つい笑ってしまった。





「 じゃあ、帰ろうぜ。 」



『 うん、帰ろっか。 』





鞄を持つと青峰くんは持つからよこせ、と手を差し伸べてくれる。優しいな、何て思いながらううん、大丈夫だからいいよ、と言うと青峰くんはそうか、としょげた顔をする。





『 …青峰くん、優しいね。 』



「 あ?んだよ、急に…ってか、今日教科書持ち帰るんだろ。ほら、重いからよこせ。 」





照れながらまた手を差し伸べてくれる青峰くんにいいよ、と返そうとするも手に限界が来てしまい、渋々とお願いします、と手渡しをする。青峰くんはおう、と無邪気な笑みで荷物を持ち、階段を下り始める。校門を出て直ぐに別々の道になってしまう為にちょっと寂しく感じてしまう。





『 青峰くん、またね。 』



「 おう、またな。 」





昇降口を出て校門に到着すれば手を振り、別れを告げた。青峰くんが向けた背中は何だか寂しそうで、胸がキリキリと痛み始める。でも、また会えるのだから大丈夫だと押さえ込んで青峰くんの背中に微笑みかけた。





――ありがとう。




素直に口に出せないけれど、いつも優しい青峰くんが大好きだよ。





――君に、お礼を言いたかったこと。









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