《 微笑みの裏側 》







「 今日は一段と風が強いわね…何故かしら? 」



「 さぁ?天候の問題じゃないんスか。 」





一方、一つの道を歩むヨナ達は、森を抜けてからの強い風に悩んでいた。森を歩いている時はなんとも無かったのだが、抜けてから風が強くなったのだ。





「 そりゃあ、きっと声龍様が部外者を嫌っているからだべ。 」





そこで、一人の老人が馬に乗りながら近寄り、風に悩むヨナ達に一言声をかけた。ヨナは振り返り、老人へと目を向けて首を傾げて質問をした。





「 声龍…、声龍ってあの伝説の…? 」



「 おお、知っているだべか!声龍様は言霊を操る龍でのぉ、今は城にいるはずじゃ。 」



「 ありがとう、おじいさん。ハク、急ぎましょ。 」



「 へいへい。 」





ヨナの問い掛けに答えてくれる老人は微笑みを浮かべては、なんのなんのと笑う。ヨナ達は背を向けて再び歩き出し、ヨナは会えるだろうかと顔を小さく歪ませた。





「 声龍様の神殿?嗚呼、えーっと…此処を真っ直ぐいくと突き当たりに出るからそこを右に行くんだよ。途中で階段があるからそこを上れば神殿だ。 」



「 ありがとうございます。」





あれから暫く歩いて街にたどり着き、声龍がいるという神殿を街の住民に聞き出すヨナ。白い肌を持つ少年がその問い掛けに答えた後、思い出したように告げる。





「 声龍様は美人で優しい方だから癒しになると思うぞ! 」





流石声龍、街の住民からの信仰が凄い、とヨナは心の中でそっと呟いた。後でハクは溜息を吐いて淡々と告げ始める。





「 会ってどうするんですか、 」



「 それは…後から考えるわよ。 」



「 いるかもわからないのに? 」





淡々と告げるハクにヨナは溜息を吐いた。そして、決意を固めたような目付きでハクを見上げて負けじと返事を返した。





「 とにかく、行ってみましょ。会ってみたいの、いなかったら待つまでよ。」





ヨナは決心を決めたような表情を浮かべてはそう告げた。その表情に弱いハクは断りきれず、無言で肩を竦めてから双眼をゆっくりと閉じた。





「 声龍様に会いたい?招待状をお持ちでなければ面会はできません。 」



「 そんな…、一度だけでもいいの、会わせてくれないかしら。 」



「 なりません。招待状もなしに面会は許可できません。 」





門前払い、と言う感じでがんなにに通してくれぬ門番にヨナは少なからず腹を立てた。すると、一人の女性が奥から現れ、凛とした声で告げる。





「 お入りください。 」



「 せ、声龍様!困ります、このような輩を神殿に入れるなど!」



「 私がいいと言っているのです。 」



「 し、しかし…、 」



「 さぁ、いきましょう。 」





ふわり、と微笑んだ声龍の笑顔の裏には何かが隠されていると思ったハクは先程まで晴れていた筈の空が曇天に覆われている空を仰ぐように見上げた。









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