《 極彩色 》
監禁されてる間、時折センは寂しそうな表情を浮かべるときがあった。その表情は、まるで子供のように幼く、哀しそうな…そんな表情。
あの表情を、私は知っている。誰かに認めてほしい、存在を認めてほしい、自分を認めてほしい、自分をみてほしいと言う、寂しい感情。
『 …そっか、君と私は一緒だったんだね。 』
「 いっ、しょ…? 」
『 誰かに認めてほしい、自分を認めてほしい、そんな感情を抱えて生きてきた人。 』
壁に寄り掛かって聞いていたハクは切な気に表情を歪めさせた。小さい頃、妹のために封印された悲しい過去を持つ、ナマエ。
『 …大丈夫だ、君はもう苦しむことなんてないから。 』
「 や、っと、 」
__一人の人間として、認めてもらえた。そう呟いてセンは目を瞑り、深い眠りへと身を沈ませた。眠りについたその表情は、とても安らかだった。
『 さ、いこうか、ハ___ 』
「 俺は、アンタを一生守りたい。 」
ハクはナマエの腕を咄嗟に引き寄せ、抱き締めた。骨が軋みそうな強さに、ナマエは苦しいよ、と苦笑を浮かべるがハクは切羽詰まった声でいい放つ。
「 俺は、アンタが好きだ。 」
募り募った想いを、言葉にしてハクは口にした。ナマエは黙ったまま、なにも言わずそれをただ聞いていた。すると、ナマエは笑みを浮かべ、
『 ありがとう、ハク。 』
嗚呼、やはり駄目だった。ギリッ、と奥歯を噛み締め愛しい女を抱く腕に力を込めてから離れる。離れる時に名残惜しさに歯痒さを感じながら背を向けた。
『 …さあ、帰ろっか。 』
___ふわり、ナマエは微笑み、ゆっくりとハクの手を握ってはみんなの待つところへと足を進めた。
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