《 掻き消した弱さ 》







『 …お前だけは、赦さない。 』



「 おや、やっときましたか…声龍。 」



『 セン・クムジ…覚悟。 』





 間髪入れずにナマエは小刀を手に取ると鞘を引き抜き、手離すのと同時にセンに向かって走り出し、跳躍すると小刀を振り上げ一直線にセンの頭上へと降り下ろす。





「 甘い! 」



『 っな…! 』





 センは降り下ろされた小刀を隠し持っていた小刀で防ぎ、凪ぎ払った。切っ先を払われた反動で空中でバランスを崩してしまい、ナマエは床に落ちてしまい、身体を強く打ち付けた。





 ヒュッ、と息を飲み込む音が聞こえ、センは優越感に浸りながらそっと、起き上がろうとしているナマエに歩み寄れば小刀を蹴り飛ばした。





「 ただの人間にやられる気分はどうですか?悔しいですか?それとも…まだ、やれますか? 」



「 やられるのは、アンタだぜ。 」





 __っな…!とセンの慌てた声が響き、振り返ろうとした直後にセンの胸が背後から何者かによって貫かれた。センの胸からは、夥しい鮮やかな血が舞いそれを浴びて真っ赤に染まった大刀が突き出ていた。





『 は、く…? 』



「 悪い、やっぱり黙って待ってなんかいられなかった。愛しい女放っておくなんて、俺にはできねえよ。 」



「 な、ぜ、雷獣が…、 」





 貫かれたままセンは苦し気に喋り、吐血をした。ハクは貫いたまま鋭い眼光を向け、投げ飛ばすかのように大刀を無造作に振り払い、センは床に転げ落ちる。





 ハクは黙ってなどいられなかった。愛しい女を目の前に、何もできない自分に苛立ちを感じずにはいられず、衝動的にセンの城へと足を進めてしまっていたのだ。そして、たどり着いた先には、愛しい女とセンがいた。





 腸が煮え繰り返そうな現状に、咄嗟に獣の如く走り出した。そして今に至る。ハク、と自分の名前が愛しい女に呼ばれると熱が覚めていき、大刀を持ったまま駆け寄った。





『 ジェハは…、 』



「 姫さん達に任せた。シンアと白蛇もいることだし、大丈夫だろ。 」





 ゆっくりと名前は息を吐き出した。ぐっ、と手と足に力を込めると起き上がり、センへと近付く。ヒュー、ヒューと空気が抜ける音を聞いたまま、センの横に立つ。





『 君には、味方してくれる人がいなかったんだね。 』









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