《 毒に染まった白薔薇 》
嫌な予感が当たってしまった。夜中の騒音に駆け付け、ナマエの部屋の扉を開いてみればもぬけの殻。窓は開いており、白色のカーテンがバサバサと揺れ、窓の下には雨水が溜まっている。
どういう状況かを理解できないまま、呆然と立ち尽くしていると背後から聞き慣れた声が話し掛けてきた。
「 ミンヒョク、どうしたの? 」
「 クロエ、ナマエがーーっん、 」
いなくなった、と告げる前に暖かい何かで塞がれる。胸板に添えられる両手に、目の前に広がるクロエの閉じられた目蓋。驚いて目を見開いたまま呆然としていると唇が離され、クロエが此方を見上げる。
「 ミンヒョク、私と婚姻を結んで? 」
「 俺は、 」
「 この意味、分かるよね? 」
悪魔の囁きが聞こえる。主犯はクロエだ、と。俺の行動次第で声龍は消えぬ鎖で縛り続けられてしまう、と勘で分かった。クロエの腰にてを回して小さな唇に噛み付くように口付けをした。
「 愛してる。 」
偽りの愛情は、なんとも虚しいものだと感じた。不快な感触に歯痒さを覚えるが我慢し、愛しい女が寝ていた筈のベッドに押し倒し、再び唇に噛み付くように口付けを施す。
「 んっ……ミンヒョク、私を愛して…? 」
恍惚とした表情で見上げるクロエの事を見つめた後、着物をはだけさせ、胸に露出させてはぶるり、と身体が震えるクロエの身体。綺麗な肌に赤い舌を這わせると胸の突起が固くなっていくのを感じた。
「 んんっ、ミンヒョク、もっと……っあ、 」
「 は……っ、ん 、」
片方の胸の突起に吸い付き、もう片方は指先で弄くる。クロエから漏れる吐息を感じ取りながら顔を離し、クロエの唇に噛み付いては太股に手を滑らせ、舌を絡ませる。
「 んぁっ、ミンヒョク、そこいや、 」
「 …嗚呼、 」
罠に堕ちたのは、俺だったんだ。
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