《 ロベリアの花言葉 》







『 ッ、離しッ、 』



「 凄い血の匂い…ダメだろ、百目鬼。こんなに傷を付けたら可哀想だ。 」



「 も、申し訳ありません。 」





背中から抱き締められ、お腹と肩に両腕を回されて動けなくなると耳元で囁かれて驚き、クナイを全て落としてしまう。首筋に顔を寄せられてペロリと舐められると吐息が漏れそうになり、両手で口を抑えた。





「 お前は…ッ! 」



「 やぁ、緑龍。 」



「 ナマエを離してくれるかい? 」



「 それは出来ない相談だね。 」





ジェハは瞳をぎらつかせてミンヒョクを見つめた。首筋から顔を離したミンヒョクはニヤリ、と怪しい笑みを浮かべてナマエのアオザイのボタンを上から二つ外していき、白い肌を露出させた。





「 ロベリアの花言葉って知ってる? 」



『 知るわけないでしょ、そんなの…。 』





花の象徴を指先でなぞられると肌が泡立ち、奥歯を噛み締めた。ジェハは近付こうと歩み始めるがナマエの苦しむ姿に奥歯を噛み締めて両の手に握り拳を作り、ミンヒョクを睨みつけた。





「 ――悪意、だよ。 」



『 あ、くい…? 』



「 そう、悪意。…声龍は村人の声帯を喰い荒らし、村を全滅させたんだ。村人の悪意が声龍に向けられ、この心臓の部位にロベリアの象徴が施された。 」





自分より詳しい声龍の過去を知っている相手を見ていると、とても悔しくて自分が不甲斐ないと感じた。すると再び吐息が掛かり、驚いて離れようとした瞬間、鋭い痛みが首に生じて息を飲みこんだ。





「 ナマエ!! 」





ジェハが私の名前を呼んでいるのもぼやけて聞こえる。首から流し込まれる異物感に目を見開く。何かを流し込まれる、というのはいいものでも悪いものでもなく、兎に角気分のいいものではなかった。






『 な、にをし…ッ、 』



「 俺お手製の血液毒。…それが体内にある限り死ぬことすら愚か、食べることも出来ないよ。例え口にしたとしても胃が受け付けなくて吐き戻すだろうけどね。 」





血液毒。それは黒龍が体内で生成できる猛毒であり、血液で出来ているために取り出すのは不可能に近い。そして、死ぬことすら愚か、食べることもままならなくなり、一時的な不死身状態になる。





「 解毒方法は…緑龍、君が知ってるよね? 」



「 ジェハ、知っているの? 」



「 …黒龍の血液毒の解毒方法は…毒を受けた生物が黒龍に口付けをすること。 」





ジェハの酷く悔しそうな声音で話し、ヨナ達は絶望に落とされた気分を味わった。ハクは矛を握り締め、奥歯を噛み締めては辛い表情を浮かべた。









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