《 廻るカルマ 》






『 …アスマ、よかったね。 』



「 うん…!ナマエのおかげだよ!ありがとう…! 」



『 …末永くお幸せに。ハクア、行こう。 』





ハクと別れて宴会の準備を手伝っているアスマの元へと会いに行った。すると、ユンジェさんとアスマが仲睦まじそうに作業をしていて、その光景を見ていると何故だか暖かい気持ちになっていく。





祝いの言葉を述べてからハクアを肩に乗せ、二人に背を向けて歩き出す。散歩にでも行こうかと思い、街の方へと方向を向けて歩く。生温い風が頬を撫でていき、ナマエの暁の髪を弄ぶ。街に入り、風景を眺めながら朝の新鮮な空気を吸っていると背後からユンジェが明るい声で話を掛けた。





「 ナマエさん、助けてくれてありがとうございました! 」



『 えっと…、ユンジェさん、だよね?私は何もしていないからさ、ヨナ達に言ってやってよ。 』



「 いいえ!貴女がいなかったら、今頃私は…、 」





振り向いて話すナマエにユンジェはナマエの言葉に首を横に振り、控えめの口調で喋りだす。だがユンジェの次の台詞を遮るかのように、凛とした、だが疑い深いような声音がナマエの背後から発せられる。





「 よ、ヨナ、姫…様…?! 」





嗚呼、きっと緋龍城の遣いだろうか。背後を振り返り、驚いた顔をしている兵士を見つめた。ヨナと同じ暁の髪だからヨナと勘違いしたのだろうと思い、ユンジェの方へと向き直ってユンジェの手を掴み、走り出した。





「 ま、待て!! 」



『 走って! 』





急な行動に戸惑うユンジェにそう告げ、全速力で走り、次の曲がり角を右に曲がった。曲がり角を曲がり、ナマエはローブをユンジェに被せて抱き締めて息を潜めた。





『 ( もう、大丈夫かな…ッ、 ) 』





先程後ろを振り返ったときは追っ手はまだ来ていなかったし、大丈夫だろう。はぁ、と溜息をついてからそっとユンジェを離した。ローブをユンジェからそっと取ればユンジェは困惑した表情を浮かべていた。





『 ここから真っ直ぐ行けば宴の会場に着くはずだから、また後で。…アスマと仲良くやってね、ユンジェさん。 』



「 あッ、待っ…! 」





引き止める声を無視し、そっと曲がり角を戻って走り出す。ローブが走る度に揺れ、ある人物を探す。緋龍城から来ているのならば、スウォンだって来ているはず。久しぶりに会うから、挨拶をしたくて、ただそれだけのために探した。





『 意地悪だね…、君は。 』





そっと、乱れた息を直さずに口元を三日月型に歪ませた。









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