《 神様、どうか 》







「 上がった! 」





あれから数分が経過し、甲板に出たは良いものの打ち上げるはずだった女性が捕まり、打ち上げられない状況に陥ったところにヨナが弓矢を海賊達に向けた。それに怯えて怯んでいるところを狙い、ヨナは女性から花火を取って灯りの火を使って花火を打ち上げた。





居場所を知らすために打ち上げられた花火を見てから男たちの怒りはピークに達し、ヨナをすかさず捕まえ、剣を白い首筋へと宛てがった。このままでは殺されてしまう、そう思ったナマエはヨナの元に駆け寄ろうと足を進めた。





「 くっそ、てめぇら女共は黙って怯えてりゃいいんだよ! 」





一瞬のことで気が回らなかった。首からは生暖かく紅い水が垂れ流れていて、ぬるりとしていた。突然のことに思考が追いつかず、途端に膝がガクリとなり、地面に倒れ伏してしまった。





隣にいた男が怒りに任せて振り回した剣が偶然、ナマエの首の頚動脈に当たり、切れてしまったのだ。吹き出した紅い血液は周りに飛び散り、ヨナの頬、そして至るところに飛び散っていく。





『 ( 視界が、霞む…。 ) 』



「 いやぁあああッ! 」





ナマエは首筋から溢れ出す紅い血液を止めようと首筋の頚動脈を抑え、霞みゆく視界の中映ったのは綺麗な月を背に、空中に跳躍している緑色の髪を持ったあの男性の姿だった。ヨナの悲鳴を聞きながらボーッとした思考で考えた。





いつもは直ぐ治る傷なのにも関わらず全然治らない。と言う事は、血液の量が足りないと回復は遅れるということなのだろうか。ナマエは自分の首筋から流れ出て床に広がっていく鮮血を見つめてから双眼を閉じた。





「 ナマエ! 」





ジェハは船の上に着地し、ユンとヨナの傍にいた男達を蹴りで薙ぎ倒して奥に目を向けた。其処には紅い水たまりの中心に倒れているナマエの姿があり、ジェハの怒りはピークに達し、ジェハは駆け寄り、手加減なしで周りの男達を薙ぎ倒す。





『 ジェ、ハ…ヨナ達を、守っ、て…。 』





掠れた声で途切れ途切れに告げるナマエの首裏と背中に手を回すとギュ、と抱き締めた。自分が死にそうになっているのにも関わらず何故他人を守らせようとする意味が今のジェハには理解できなかった。





「 …ナマエも守るに決まってる。 」





そう告げ、ナマエを抱き上げて隅へと移動させてそっと横たわらせた。一言告げてから意識を失ったナマエの頭を一撫でしてから大きく跳躍し、空中でクナイを数本投げ、ヨナ達を守る為に戦い始めた。





「 僕が戻るまで死なないでよね。 」





ジェハはそう呟き、守るべきものの為に戦った。









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